悪夢真夜中の荒野──戦場。月と星々が暗闇を照らし、剣、槍、斧といった幾多もの武器たちが空からの光を反射し、鈍く煌いている。
反射した光たちは夥しい死体の群れを照らし出す。頭部から足先まで真っ二つ、或いは胴体が真っ二つ、四肢が捥がれている等、様々な死体が荒野を埋め尽くしている。血潮と臓腑で彩られた残虐非道の絶景が広がっている。
白いフードを被り、手に大鎌を携えている戦士は、その光景に息を呑んだ。地上界の“命を刈り取る”役目を担う<死神>──ヒュプノスでも、このような惨状には嫌悪を覚えた。
哄笑が聞こえる。金属が反響しているような奇妙な声。ヒュプノスは視線を前にやると、遠くに宙を浮いている一振りの大槍が見えた。黒い鋼の意匠が施され、青白く発光するクリスタルの刃を持つ、美しい三つ又の槍。それが、笑い声を上げている。
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