重さ こいつ、俺より身長は低いくせに。
と、イリヤはソロにのしかかられながら思った。
のしかかられている、と言っても別に色気のある話ではない。
イリヤより多く妙なガスを吸い込んでしまい、身体のコントロールがきかなくなったソロをなんとか担いで現場から脱出する途中というだけだ。
肩にかかる身体の重みは、確実イリヤのそれを越えている。
ぐ、と変な声が出そうになるのを、イリヤは辛うじてこらえた。
「……悪いな」
意識は何とか保っているソロが、申し訳なさそうな声を出す。
それなりに体術の心得もあるソロだ。普段ならのしかかられてもそこまで重くは感じないところだが、力の抜けた身体ではそうもいかない。全ての重みがのしかかってくるだけで無く、バランスも取れない大男は、同じ重さのセメント袋より厄介だ。
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