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    絽愗ちゃん

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    POIPOI 21

    絽愗ちゃん

    DOODLE実録から発展した映電、電解が取り乱して縋るだけ
    狂うほどに想う 多分、いつかはきっと、こうなる時が来るんじゃないかと薄々勘づいていた。だから、心の準備はしていた。しているつもりだった。そのタイミングが思っていたより早かったことだけが誤算だった。対戦席に腰掛けた、彼と同じ姿形の男に、私は、自分でも分かるほど酷く動揺していた。エミールに「代わってくれ」と席を立つよりも早く、意識はゲームに向けて落ちていった。
    ゲーム中の事は覚えていない。思い返そうとも思わない。ただ、勝利したというアナウンスの後、私はその場から逃げるように走っていた。行く宛ては決めてなかった。自室に戻れば私はきっと駄目になる、それだけは分かっていたけれど、何処へ行こうとも考えていなかった。だから、足を止めた時、目の前にある毎朝見ている木製の扉に、「嗚呼、私はこんなにも彼に縋ってしまっているのだ」と自嘲した。彼はきっと寝ていない。必要の無いことをする彼ではない。深呼吸をひとつして、3度のノック。いつものよりも少し強めになったのは、少しでも早く安心したいという醜い人間の性だ。程なくして扉が開くと、笑顔の彼が出迎えてくれた。
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