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    HMM_kin

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    あかいちオンリーSS

    二つの副流煙※刀剣男士が喫煙しています。ご注意ください※


    遠征から帰って自室に戻り、今日はもう出陣予定も無いので戦装束から内番服に着替えて棚から煙草を持ち出して喫煙室に向かう

    ここには喫煙者が程々におり、それに伴って喫煙所も所々に設置されてある。
    向かう場所は部屋からも近い本丸の二階の喫煙所で、ここ最近新設された。
    この本丸の部屋割りは大体は顕現順だが希望すれば自由に変えられる。
    明石殿とは偶然にも同室になり、そのまま過ごすうちにいつの間にか恋仲になったので同室のままである。

    そうこうしているうちに喫煙所に着いたので引き戸を開けて中に入ると誰もおらず、常設してあるソファに身体を沈め、煙草の先端に火を灯す。
    燻る煙を肺の奥底まで取り込み、余った煙を吐き出すと同時に身体からも力が抜け出ていく
    惰性的に吸い続けているとふと扉が開き、そこから姿を現したのは顕現が近く、その理由から話すことも多い桑名江だった

    「あれ、一期さんだ〜さっきまで出陣だったみたいだねえ、お疲れ様」
    「あぁ、ありがとう。そっちは畑仕事ですか?」
    「そうそう、絹さやが大量だよぉ。あとそろそろ田植えの準備もしていかないとね」
    「おお、良いですな。もうそういう時期なんですね。ここの米は本当に美味しいのでありがたい事です」
    「そうだよね、最初から基礎を築いてきたみんなに感謝だね」

    互いに煙草を燻らせながらちょっとした世間話をした後、桑名はすぐに畑へと戻っていった。

    再び一人になり、今吸っているのが終わったら部屋に戻るか…と考えていたらまた扉が開き、入ってきたのは明石殿だ。

    「おぉ、一期さんやん。」
    「お疲れ様です。その姿は…畑仕事だったのですね」
    「せやでー、もう一生分働いたわ」
    「流石にそこまででは無いでしょう」

    入ってくるなりどっかりと一人用のソファに座り、胸元のポケットを探って煙草を取り出す。
    その間の表情はだいぶ疲れ切った表情をしている。

    「桑名さんに振り回されたわ…めーっちゃ絹さや取れたで?」
    「なるほど、それは楽しみですね」

    先程桑名から聞いた、ということは伏せて置いて明石の話を時折相槌を打ちながら聞いていく。

    「ところで一期さん、ライターかマッチ、持ってへん?」

    先程から上着を探っていると思ったらどうやらライターを探していたらしく、どうしても見つからなかったのかこちらに訪ねてくる。

    「吸いにきたのに忘れたのですか」
    「やって。しゃあないやん」
    「なら、これを」
    「ん、ありがとう」

    差し出したライターを受け取ると早速煙草の先に火をつけようとするがガス切れをおこしたか中々火を灯さない。

    「んん?つかんな…」
    「ん…?少し、貸してみてください」

    一度貸したライターを再び受け取り、カチカチと鳴らすが一向に火は付かず、ガスの抜ける音だけが喫煙室に木霊していく

    「……つきませんね」
    「しゃあない、一期さん、ちょおこっち向いて」
    「ん?なにかあっ…」

    ソファから腰を上げ、後ろに回ったかと思いきやグイッと首をもちあげ、唇に挟んである煙草の先に自身の煙草をくっつけ、こちらの火種を通じて灯そうとしてきたので明石が火をつけるのにスっと息を吸うのと合わせてこちらも息を吸って火種を強めにすると明石の煙草に火が灯る。

    「ん…やるなら先に言ってください…」
    「だってこのほうが早いやん」
    「それはそうだが…」
    「まぁでも助かったわ、ありがとな」
    「いえ。お力になれたならなにより。よっぽど急いでたんですね?」
    「いやあ…もうずっと畑やったから…」

    無事に煙草に火が付いた為、ソファに座り直してスゥーっと深く吸い込んで堪能していく。

    「そうですね、畑の辺りに喫煙室はないですもんね…」
    「まあ、あの辺には作れんやろなぁ…」

    畑から一番近い喫煙室に向かえばよかったんだろうが畑作業の為煙草を所持していなかった明石は私たちの部屋から煙草を取って一番近いこの喫煙室に向かってきたのだろう。

    「でも、お疲れ様です。この時間までされてたならよっぽどでしょう?」
    「まあ、行くまでがしんどいだけでやり始めたらそこまででもないで?しかも明日は非番やで?」
    「確かに。そういえば私も非番でしたな」

    最近新しく来た刀の育成の為一期は出陣で、その前にその前に育成担当だったのが明石だった為、現在は内番作業に。という形のすれ違いの日々が続いていた為互いに休みが被るのは実に久しぶりである。

    「そうなん?ほなお互いゆっくりできるなあ」
    「確かに。まぁ、ゆっくりもしたいですが…」
    「ん…?」

    話しているうちに段々と短くなった灰を灰皿に放り込み、まだ煙草が残っている明石が吸い終わるのを待つとゆったりと明石の方に向き、フゥーっと煙を吹きかける。

    「こういう意味でも…ゆっくりしたいですね?」
    「――ん、時間はあるんや。じっくりと愛したるわ」

    副流煙を顔に吹き付けるのは夜の行為を匂わせる事とどこかで聞いたことがある。
    その行為を確実に受け取った明石はほぼ吸い終わった煙草を一期の口から奪い、灰皿に押し付けるとグッと手を取って立ち上がらせる。

    「さ、夜は長いで?」
    「これはあれですか、夜は寝かせない。というやつですか?」
    「なんでそんなん知っとるんや…」
    「薬研の受け売りですな」
    「えぇ…」

    他愛もない話をしながら喫煙室を出て真っすぐ自分達の部屋に向かう。
    さっき握った手は部屋に入るまでそのままだった。

    偵察値の高い刀達にはすっかりバレているのである。
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