強い雨が降って出掛けられ無かったので、ネットに繋いで適当な映画をテレビ画面に映して、並んで観て居た。「…なんで急に恋愛関係に陥ったんだ、さっき迄友達同士だったろ?」「そう言うストーリーだからです。」陥ったって言い方、呆れながらも隣の男は答えた。「友情だったものが、恋愛関係を築ける迄の感情に至ったのでしょう。」男は液晶画面に向けた顔を背け無い。「おれも出来るよ。」「は?」その顔がこちらを向いた。「おまえとコレ、出来る。」男は少しの間黙ってこちらを見て居た。が。「出来る、と、したい、では違いますよ。」「した、」「言い直しても意味無いです。」こちらを向いて居た顔は、もう戻ってしまった。「…今の奴らがしなかったことも。それ以上のことも、おまえとなら」「はいはい。」画面に向いた男の顔は、こちらにもう黙って映画の続きを観させたいようだった。そうは言っても。「おれ、振られたのか?」は、映画は笑うところでは無いのに、男は笑った。「おまえの貴重な恋は、始まってすら居無いんですよ。」