Navigatoria「よう。隣いいかい?」
「鶴丸国永……どうぞ。僕でよければだけど」
「松井と話がしたかったんだよ」
まんまるい月が浮かぶ夜。部屋から外をのぞいてお茶をしていた松井の隣に、鶴丸はどっこいしょ……と言って腰を下ろした。鶴丸の腕の中にはこぼれそうなほどの茶菓子が乗っていた。あとで燭台切と歌仙に怒られないだろうか、と松井はすこし心配になる。
「……月がきれいだなあ」
「うん…ほんとに。僕らの存在なんて、ちっぽけだと言わんばかりなくらい」
「……荒療治なことをして済まなかったな」
「鶴丸国永、謝らないでいいよ。僕はあのとき、まだ未熟だったんだ。今なら、主の気持ちも貴方の考えも理解できる。鬼役大変だったんだろう?……三日月さんとは会えたのかい?」
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