いい日になぁれ昔、神社に綺麗な白髪をした少年がいた。
そいつは毎日お参りや掃除をしに来て、必ず
「今日はいい日になるよう、
見守っていて下さい…。」
と言いに来る。
「見守る…か。」実際1度も見守った事ない。
だが…流石に毎日言いに来られると
気になるものだ。
「明日、見に行ってみるか。」
そう思い、眠りについた。
いつも少年が来る時間に目覚めた。
本坪鈴の音が鳴らない。
10分、30分と待ってみたが鳴る気配がない。
「嫌な予感だ。」
そう思い少年の気配を元に探しに出た。
「ここだ……。…ッ!何だ…これは…」
そこには、
銃を持った老人。
そして。
狐を庇って血に濡れた少年。
真っ白な髪、真っ白な肌が赤く染っていく。
老人もハッとしたかのように駆け寄るが、
少年の心臓を貫いてしまっていたようだった。
その後彼の葬儀が行われた。
私はそれを見守った。最初で最後の見守りだ。
本当は参加したかったが。
私は九尾の狐…
人間の前に簡単に姿を表す訳には
いかなかった。
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あれから数日、少年の腕の中にいた狐がやって来た。
「なんだ?私は忙しいんだ。」
あの少年がいなくなってから、
心に穴が空いたような感覚があった。
これが…寂しさというものなのか…わからない…
その狐がある花を差し出した。
その花は『夢叶花 ームキョウバナー 』というものだった。
「それを私に差し出して何になるんだ。」
-ここにいたい。-
「……少年…?」
そう言って私に花を渡してきた。
「持っていれば…いいのか?」
-僕を仲間に入れてください。
それが僕の夢でした-
間違いなく少年の声だった。
「後悔だけは…しないでくれよ?」
そう言うと夢叶花は青く光り出した。
眩しくて思わず目を瞑ってしまった
目を開けた瞬間…
『狐白さん…ずっとお会いしたいと
思っていました…。』
そう言われた。
少年とそっくりだが…
何だか体が大きい気がする…
「少年…なのか…?」
『はい。白と申します。』
その後、白に話を聞くと
毎日お参り来てたのは、虐められていたから
誰かに助けて貰いたくて来ていた。との事だった。
親も助けてはくれない。
それどころか白に当たるばかりだったそう。
あの狐はよく一緒に遊んでいた
唯一の親友だったらしく
「ぼく、幽霊になったら、
きつねさんの妖怪になるんだ。」
それを思い出した狐は
夢叶花を口にくわえ墓の前に行き。
-ボクと イッショニ ナッテ-
そう伝えたそうだ。
白の霊と一緒に私の元に来て妖狐になった。
ずっと私に会いたかったそう。
まったく不思議な奴だ。
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「狐白さん、朝食ですよ。」
「ありがとう。今日もいい日だな」
「ふふ、そうですねっ」