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    amampanda

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    テスデイ
    7章ネタバレと、かなりの自己解釈による捏造ありの短文
    ひたすらに甘い

    大丈夫な方だけどうぞ

    まどろみの白 白い世界の全てを満たす霧はどこまでも静かで、焚き火の音が心地よい。
     案外世話好きの神が与えてくれた安息の地で、デイビットはゆりかごに揺られているかのように微睡んでいた。
     自分が人ではなく、本当の意味で誰からも理解されなくても、それでも走り続けることだけが、宿命のようにやめられなかった日々が懐かしく思えるほど、緩やかな時間。
     変わらない1日から5分だけ、必要なものだけ記憶して、理解して、どこか虚の体を抱き締めて、眠れることは10歳の時からでも数えるほどしかなかった。
     それなのに、デイビットはこの世界に来てから、熟睡することを覚えてしまった。
     肉体はすでに無く、魂のみになった影響だとすぐに理解したし、何より、記憶が正しく続いていることもとっくに気づいていたのだから、眠ることが出来ることにも納得していた。
     ゆら、ゆら、ほむらが揺れて、薪を燃やす。
     その様を見ているだけで、人でなくなったあの日から感じていた、疎外感と寂寥感が心に作った傷がわずかに癒えるようだった。

     「おい、デイビット。寝るならちゃんと寝床に行け。」

     こくこくと船を漕ぎ始めたデイビットに見かねて、父親のように、テスカトリポカは呆れて言う。

    「いい、オレはここがいいから。」

     舌足らずに答えれば、小さな笑い声が聞こえて、「そうかい、」という返事と共に体が浮いた。
     正確にはテスカトリポカに抱き上げられたという方が正しい。

     「まぁ、俺のそばを離れたくないのは分かるからな。一緒に寝てやるよ。」
     「……そういうわけじゃ、ない。」
     「はいはい、」

     ゆったりとした歩調に合わせて、頬にあたるさらさらの金髪くすぐったくて、体が触れている部分が温かくて、きっとこれはとっくの昔に感じなくなっていた安心感だと気付いた時には手放し難い感覚に襲われて、テスカトリポカの服を掴んでいた。
     その事に気づかないほど、男は鈍感では無いことも分かっていたけれど、離したくなかった。
     やがて訪れた清潔なシーツの感触に、閉じていた目蓋をゆっくり開ければ、隣には珍しい表情をした戦神の姿があって、少し息を呑む。

     「テスカトリポカ、」

     思わず名前を呼んで、起き上がろうとしたデイビットはまたベッドに沈められる。

     「ゆっくり、休め。今はそれだけ考えろ。」

     上から覆い被さるように抱きついてきた神の低く鼓膜を震わせる声、愛しそうに額にキスを落としてきた柔らかな感触には、もう慈しみ以外の感情は感じなかった。
     …………それを、少しだけ残念に思う。



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