闇と夜夜を纏ったような男だと思った。
頭から靴まで黒を纏って
俺と同じ、孤独を纏った夜だと思った。
「…おい」
「…なんだ」
「なに助けてんだよ…」
「…なにがだ」
「俺が頼んだのは『俺の後片付け』だろ…何無茶してこっち来てんだよ…」
「…あんた、約束しただろ」
「…?」
「あんたが死ぬまでは、飯作ってくれるって」
『少なくとも、俺が死ぬまでは餓死させたりはしねぇよ』
「それに、あんたはあんなのじゃ死なないだろ……次から手なんか抜くな」
「…っく、ははははは!…そうかよ…」
そんな言葉…とっくに忘れていた
「お前は俺と、『約束』してたのか…」
俺の力でもなく、能力でもなく……そんなクソみたいなモノで助けるのか。俺の犬は
「最高だな……俺の犬は」
「…」
「…ほら、帰って飯食うぞ」
『約束』なんて、死ぬほど嫌いな言葉なんだけどな
「ご褒美だ。…お前の食いたいもの作ってやるよワンちゃん」
お前といると、夜にもいろんな色があるってことを思い出すよ
闇が人になったような男だと思った。
その虚ろな瞳には、目の前にいる俺さえ映って無かった。
でも、いつからだったか…
その瞳が変わっていったのが分かった。
この男は変わらない。闇は変わらない
それでも
「…なぁ」
「なんだ?」
「俺が、見えてるか?」
「はぁ?何言ってんだ?」
「…」
「おい……帰るぞ」
「…あぁ」
俺はこの闇が、心地いい