コマンド 聞こえてきたマルコの言葉に耳を疑った。
「な、なに言って……?」
そう尋ねるのにも心臓は早打ち、汗が垂れる。ビリリと身体中を舐めたその言葉に硬直したまま動けない。
「Stay だよ、ジャン。聞こえたよね?」
ダメ押しの台詞が決定的だった。
たまたま。偶然。なんてありえない。それは命令(コマンド)だ。感じたことのないほどのグレアに眩暈がする。
「そん、な。……マルコ、いつから……こんなの、違う、違う」
「何が違うっていうの?」
今だってその笑顔はオレの知ってるマルコの顔じゃなくて全身に鳥肌がたつ。黒い洞のような口の中から、赤く細い舌が蠢いて口端を舐めていったのをただ見ていた。
「ふふ。ジャンこそ。今更サブが発現したの? ね?」
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