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    リヴァジャン
    初めて書いたので解釈違いだったらごめんなさい…!でもとてもとても楽しかったです

    #リヴァジャン
    lover

    リヴァジャン 恋人には互いにしか分からない合図、と言うものがある。

     
    「リヴァイさん、今日遅いですか?」
    「いや、定時に帰る」
    「あ、じゃあ…何食いたいですか?」
    「……グラタン」
    「じゃあ駅に着いたら連絡下さいね、準備するから」
    「分かった」

     二人向かい合って朝食のパンを齧りながら朝の短い会話を一言二言交わす、会社員のリヴァイと大学生のジャンは恋人同士だ。
     ジャンのバイトするカフェへ客として来店したのがきっかけで二人は付き合い、そして同棲生活をするようになって今三ヶ月を迎えていた。
     スラリと長身で細身のジャンはツンとした見た目に反してリヴァイの前では初々しく可愛らしい、学生時代のただ手を繋ぐだけの恋愛とは違う初めてだらけの恋愛は日を追う事にジャンへ色気を纏わせ始めリヴァイにとってそれは心配の種の一つだった。
     尤も、甲斐甲斐しく自らに尽くしてくれるジャンを見れば要らぬ心配ではあるのだけど。



     ——駅に着いた——

     それだけメッセージを送るとOKのスタンプがすぐに表示される、久しぶりの定時での帰宅になにか手土産でも買うかと徐ろにスイーツ店へと足を運ぶ、普段なら絶対に足を踏み入れない場所だが以前取引先から貰ったチョコを随分ジャンが気に入っていたことを思い出して色とりどりの可愛らしいチョコを眺める、正直どれがいいかなんて検討もつかない。
     店員のオススメで箱詰めしてもらったチョコを片手に帰路へと着く、ジャンと暮らし始めてからは意識的に自宅へ帰宅する時間を早めるようになった。

    「……ただいま」
    「あ、お帰りなさい。風呂湧いてますよ、もうすぐ飯出来ますから入っちゃってください」
    「……土産だ」
    「…あ、ここ有名な店じゃないですか?ありがとうございます。あ、食後に出しますね、今日新しい茶葉買ったんで」
    「あぁ、」

     帰宅したリヴァイを出迎えるジャンはデニム地のエプロン姿で嬉々とチョコの入った紙袋を受け取る、そんな姿に手を伸ばし一度頭を軽く撫でるとネクタイを緩めながら浴室へと向かう、浴室のカゴにはきちんと畳まれたスウェットと下着が準備されていた。
     風呂を出ると既に支度された夕飯をまた朝と同じ様に向かい合って囲む、今日一日のあぁでもない、こうでもないのジャンの話を時折相槌を打ちながらリヴァイは夕飯の幸せなひと時を過ごす。

     夕飯の片付けを終えてジャンがティーセットと揃いの皿に手土産のチョコを盛り付けソファーで寛ぎながら本を読むリヴァイの前へと紅茶と一セットにして置き、自分の前には同じ茶葉で淹れたミルクティーを置いて隣へと腰掛けて一息つく。ありがとう、と一言礼を言ったリヴァイがカップを口へ寄せるとアールグレイにほのかにブランデーの香りが合わさり、鼻腔と体の奥がざわりと昂った。
     チラと横目に見るジャンはどこかソワソワとしながらカップに口をつける、チョコへとすぐに手を伸ばさない辺りが彼の緊張を窺わせた。

     ティーロワイヤルは、ジャンからの無言の、精一杯の誘いなのだ。

     紅茶に口をつけ、一杯しっかりとリヴァイは味わう。この長いようで短い一時も言ってしまえば前戯の一つだ。ソワソワとして、期待を僅かに滲ませたジャンの視線を感じながらゆっくりリヴァイは紅茶を飲み干す、カチャリ。とソーサーにカップを置く音がやけに静かな部屋に響いた。
     一つ、唯一自分が選んだチョコを口へと含みジャンの肩に手を置く、ヒクリと跳ねた肩にゆっくり体重を掛けてソファーへ倒し覆い被さる、自ら誘ったくせに耳まで赤いジャンに唇を触れ合わせて口の中でトロリと溶けたチョコとラムの味が二人の中で行ったり来たりしてジャンは初めて味わう酒の味にほんの少量でも酔ってしまいそうでコク、と飲み下したそれに余計に熱くなった耳朶を掌に包みながらリヴァイを見上げる。

    「ぁ、の…あの、リヴァイさん、」
    「……ん…?」
    「ぁ、謝んなきゃ、なことあって、」
    「……何だ、?」
    「今日の紅茶…アルコール、飛ばして…なくて…明日、土曜だし、リヴァイさん…久々に…早く帰ってきたから、…」
    「……とんだ悪ガキだな、」
     
     通りで今日の紅茶は酒の風味が強かった筈だ、と恐る恐るに自らの下でこちらを見上げるジャンにフッ、て小さく笑いを漏らしながらもう一度唇へ触れると甘いチョコの味と互いの口の中で溶けたラムとブランデーの香りがする、僅かな量の酒で酔うまではいかないものの可愛い恋人の悪戯にすっかり心身は熱に浮かされて高揚する、こんな甘い誘いに乗らない馬鹿は居ない。

    「……俺も、とんだ悪い大人だ」
    「……ぇ、」
    「お前に酒入りのチョコ食わせた」
    「さっきの、……」

     リヴァイの懺悔に口の中にまだ残る味を舌先で確かめながらそろりと首へと腕を絡ませて瞼を伏せつつ引き寄せ、自らもう一度ジャンは唇を触れさせる。唇の触れ合う距離で言葉を吐き出せば自然と互いの唇が触れ合いそして鼻先を甘い香りが擽った。

    「また、買ってきて下さい…緊張して味、よく分かんなかった…」
    「あぁ、」
    「味、よくわかんないから…」

     もういっかい、…と強請るように首に絡めたジャンの腕に力が籠る。引き寄せられるままにまたリヴァイとジャンの唇が触れ合い互いの口の中を舌が行ったり来たりしてチョコと酒、紅茶の味が混ざり合う。

     

     それから二人の間でジャンがティーロワイヤルを淹れるのに加え、リヴァイが甘い酒入りのチョコを買ってくるのが新たな合図として、加わった。
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