「何処へ行っていた」
「沖だ」
短く答えると、パーシヴァルはサングラスを持ち上げながら紅い瞳を細めてジークフリートを見上げた。
その瞼と睫毛には傾き始めた西陽の色が宿って艶めいている。水着でビーチチェアに寝そべる姿は彼らしい品の良さを備えつつも優美で、ジークフリートはふと、ずぶ濡れの戦闘用水中着を身につけて無骨な武器を携えた自身の容姿を省みた。
こういうふうに自分の見た目に意識が行くようになったのはつい最近のことだ。最近――つまり、具体的に言えばパーシヴァルと恋人同士のような関係性になった少し後の頃合いから、急に思考が及ぶようになった。とはいえ、いつ何度考えてみたところで自分の姿が彼と様子を異にすることが理解できるだけで、そのことが持ち含む意味や良し悪しについてはよくわからない。
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