【ミスオエ♀】エロランジェリーでセックスするミスオエ その日、オーエンがめずらしく、「家に来て」というメッセージと共にホテルのルームナンバーを書いて寄越したので、ミスラは怪訝に思いながらも駅前のホテルに向かっていた。あの女は定宿を持たないので、こうして駅前のホテルを点々としているのがつねなのである。ときにはミスラの家に泊まりに来ることもあるが、それでも一週間もすれば、「飽きた」と言って去ってゆく。それが〝オーエン〟という女だった。
フロントを素知らぬ顔で通過し、エレベーターに乗り込む。チンという軽快な音と共に廊下に踏み出し、女の示した部屋番号を目指した。
そして、目当ての部屋の前で足を止める。
番号の下にある呼び鈴を鳴らせば、扉の内側でぱたぱたとスリッパの鳴る音がした。
「おかえり」
と言いながら、戸を開けた女の姿にミスラはおもわず目を見開いた。
そこにはレースのガウンを羽織った女が立っており、その内側は――下着だったのだ。それもただの下着ではない。
いつもオーエンが好んで身につけているような上品なレースやリボンで編まれた下着ではなく、どこのアダルトショップで買ってきたのかと問い詰めたくなるような淫靡な下着をまとった女がそこにいたのである。
「……帰りました」
そう答えると、オーエンは上機嫌に笑い、ミスラの腕に抱きついてくる。腰まで伸びた長い髪をさらりとなびかせて、ごていねいに上目遣いまで使って。
「ごはんにする? お風呂にする?」
そうして女の指先がミスラのくちびるに触れた。
「それとも……僕?」
この奇天烈な状況にミスラはなんの悪夢だ、と匙を投げたくなっていた。昼間の喧嘩であたまを殴られたことが尾を引いているのだろうか。
「なんなんですか、これ」
「なにって、決まってるじゃない」
そうしてオーエンは笑う。
「勝負をしてるんだ」
「はあ……だれと?」
「おまえと、僕の」
オーエンはそこまで言うと面倒になったのか、ミスラの腕からするりと離れ、セミダブルのベッドに足を組んで腰かけた。
「勝負下着っていうものがあるんでしょう?」
「まあ、ありますね」
「それでおまえを殺せたらスイーツを奢ってもらえる約束をしてるんだ」
あれ、悩殺だったかな? とオーエンが首をかしげる。
「誰と?」
「ブラッドリーと」
おまえには色気がねえから無理だとか、そんな貧相な体に興奮する変態なんていねえよとか散々言われたけどね、とオーエンは言う。
「で、どう?」
「はい?」
「死んだ? 殺された? 悩殺された?」
期待に満ちた目でこちらを見あげてくる女にミスラはためいきをついた。それから女のとなりに腰をかけ、荷物を床に置き、薄っぺらい肩を抱く。
「そんな軽口に乗らなくても、スイーツならいつも奢ってやってるじゃないですか」
「たまには、あの男の吠え面が見たくなったんだ。心底嫌そうに僕と向かい合う姿もかわいいだろうしね」
と機嫌よく言うオーエンに、ぷつりとなにかが切れる音がした。
「あなた、ほんとうに彼のことすきですよね」
「まあね。からかうとおもしろいんだ」
「こんな下着まで着るくらいに?」
ひらりとガウンをめくれば、冗談としか思えないような下着が露になる。全体の色は黒いものの、ほとんどが紐とレースで編まれた斬新なデザインだった。また、乳首とクリトリスのぶぶんはパールで編まれているらしく、白珠のあいまから桃色の肌が覗いている。
「まあ、僕も馬鹿みたいだと思ってるけどさ」
そう言って、オーエンがミスラの膝に手を置いた。
「でも、興奮しない? 会長様、」
その言葉にミスラは笑った。
「まあ、たまには……」
わるくないかもしれませんね、と言いながら、そのくちびるにかぷりと噛みついてやった。
「んっ……」
「は……もう勃ってるじゃないですか」
ミスラはオーエンを後ろから抱きしめると胸元のパールに手をかけていた。パールがすれることに反応したのか、もうぷっくりとふくれている乳首におもわず笑いが漏れる。
「だって、つめたくて……」
「へえ、それで興奮したんですか?」
「べつに、そういうわけじゃ……っぁ!」
縦に編まれたパールを左右に動かせば、尖った乳頭がぷるぷると震えた。そのたびにオーエンは背をくねらせて喘ぎ、ミスラの胸元におい縋ってくる。
「ゃっ……ん、も、そこばっかり、」
「だって、こんなの着てるほうが悪いんですよ」
「ひゃっ」
露になった乳首をきゅっと指先でつまむ。
「こんなの、触ってくれって言ってるようなものじゃないですか」
「やっ、あっ……ん、んあ、」
まだ胸だけしか触っていないというのに、オーエンの乱れようはそうそうたるものだった。おそらく着ている本人がいちばん、この状況に興奮しているのだろう。かり、と爪先で乳首を掻けば背が跳ねる。
「う、あ……あっ、ん……」
「どうしてほしいですか?」
そう耳元で囁けば、オーエンはちいさな声で言った。
「なめ、て」
「いいですよ」
ミスラはオーエンのからだをベッドに押し倒すと、ちろりと胸元に舌を這わせた。それだけでびくりとからだを強ばらせた女に気を良くしながら、先端に舌を這わせてゆく。ていねいにゆっくりと、そしてときおり歯を立ててやれば、女はびくびくとからだを跳ねさせて、もじもじと足をすり合わせはじめた。
「そろそろ、こっちも触ってほしいんじゃないですか?」
そう言って、脚のあいだにゆびを這わせたところでミスラは驚く。なんとこの下着、膣口のぶぶんだけハート型に布がくり抜かれていたのである。
「すごいの履いてきましたね、あなた……」
あきれなのか感嘆なのか、自分でもよくわからないためいきをこぼしつつ、つぷりと膣口にゆびを入れる。内側はもう十分すぎるほどに濡れていた。
「あ、そういえば下もおそろいなんですね」
そう言ってパールを弾けば、オーエンが悲鳴にも似た喘ぎを漏らした。
「ひゃっ、あっ、そこ、は、だ、め……」
「だめ? それなら、なんでこんな下着履いてきたんですか?」
ぐりぐりとパールをクリトリスごと刺激する。
「や、やらっ……っん、あ……ひあっ!」
びくびくと震えはじめた手足を見て、そろそろ限界を悟ったミスラはさらにその動きを早めた。
「やっ、やぁ……やっ、い、いっちゃ……っっ」
びくびくんっと全身を震わせてイった女が荒い息をこぼす。しかしミスラは気にすることなく、なかにつぷりとゆびを差し込んだ。
「うわ……すごい、動いてますね」
「や、あ、いまだめ、だめ……だから……っ!」
「しょうがないでしょう。穴があいてるんですから」
ひくひくと痙攣しながら蜜を垂れ流す穴を指先でまさぐる。そのうち、腹側にすこしだけざらざらとした場所を見つけた。その瞬間、オーエンの顔がひくりと引き攣ったのもミスラはけして見逃さない。
「ここですね、あなたのすきなところ」
「あっ、ああ、あ、う、あぁっ!」
手首を固定し、指先だけで激しくそこをノックすれば、オーエンは髪を振り乱して身悶えた。
「や、やら、おかしく、へんに、なる……っ」
「いつも変ですよ、あなたは」
「ほんとに、だめ、だめ、だからっ、あ」
Gスポットを刺激しながらついでに親指の腹でクリトリスを刺激してやると、オーエンはあっさりと理性を手放した。あんあんと喘ぎながら、ふだんの気丈さをかなぐり捨て、ミスラの下で喘ぐ姿はまさに人形のようにうつくしい。
――まあ、人形のようにうつくしいだけの人間にならば、ここまで興味は惹かれないのだろうけれど。
「や、あ、いっ、でちゃ、う……うあ、」
ぷしゃあと尿道口から透明な液体をぽたぽたと垂らしながら、オーエンは半ば放心状態で天井を見つめていた。そんなオーエンの頬をぺちりと叩き、ミスラは自身の服を脱ぎ捨てながら言う。
「まだですよ」
――本番はこれからですから。