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    柊・桜香

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    柊・桜香

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    キョーハク出張前のとみたと石川県美行く前のまえだくんときたのんのお話しを書きたかった(尻切れとんぼ)

    「俺も里帰りしたい!」
    「お前数年前にしただろうが」
    「ええやん!!俺も蒸し蒸しした夏を過ごしたい!」
    「富田さん、落ち着いて下さい。本音は?」
    「白山くんにも会いたいやん!」
    「まぁ確かに中々離れられませんからね」
     所蔵されている東京国立博物館の美術品達は、困った年寄りだ、困った若造だとばかりに溜め息を吐いている。
     ここにいる見慣れない刀剣――富田江と前田藤四郎は、それぞれこの美術館に保管されている加賀前田家縁の刀剣、北野江に会いに来ていた。
     明治の頃に時の象徴に献上されたかの刀剣は、今は彼らと近い地にいる。
     この度富田江が京都へ向かうとのことで、共に向かう博物館所蔵の物達に先んじて挨拶にと訪れた次第だ。
     何せ国宝とは言え、あちこち動ける足を持つのはかつて人に「持って歩かれていた」物くらいしか、現所蔵元から離れて動けない事が多い。また富田江は国宝であるとは言え、元は戦に使われた道具だ。優美な物とはかけ離れているからと、展示がある度にこうして赴いている。
     挨拶に行くからと、遠征準備をすっぽかして支度をしていた所、同じく石川へ遠征に行く前田藤四郎が供をすると言うので連れ立ってきた。ちなみに所蔵元を同じくする大典太光世は今回は留守番だ。天下五剣でもある彼も中々世に出る機会は少ない。
    挨拶を一通り回った後、珍しく起きていた北野江に丁度いいとばかりに会いに行った。もちろん前田藤四郎も一緒にだ。
     漸く稲葉江に会えること、桑名江とも少し会えるかも知れない事、久し振りに共に並べることも話した。
     暫くはその様子を微笑ましく見ていた北野江だったが、前田藤四郎が側にいる所を見て思い出したのか。
    「そういえば俺、再来週あたり里帰りしてくるわ。前田と一緒に」
     と言ったのだ。それを聞いた後の富田江の表情といったら、正に青天の霹靂。それからさも羨ましいとばかりに顔を歪ませ、先の言葉が出た。
     加賀前田家に伝わった宝物達とは言え、今は東京にて保管されている彼らにとって、石川での展示は里帰りになると言うことだ。北野江にとっては文字通りの里帰りだが、彼らも稀にそう表現することがある。
    「ええやんええやん!しかもお隣に清光の刀剣らやろ!?俺も会いたい!藤島のにも会いたい!坊らに会いたい!」
    「すみません、ここ最近こう言った状態が続いてまして」
    「まぁこいつ自身稲葉と会えるのも久方ぶりだしなぁ。まぁそれも俺と桑名が先に並んだが」
    「なんで双璧の俺やなくてお前なん!?桑名の坊はええけどなんでお前なん!?豊前が見つかったら俺と稲葉で挟んでやる!」
    「まぁ人の子がアイツを見つけられるかだけれどな」
    「夢枕に立てばわんちゃん!」
    「お前国宝特権の霊力使おうとするんじゃねぇ!」
    「お二方、所蔵庫とはいえ博物館内ですよ。お静かに」
     見た目年若、恐らく中身は年上の刀に窘められ、二振りはきゅっと口をつぐんだ。
    一際言い合って落ち着いたらしく、富田江はそういえばとまた口を開く。
    「それならお前そろそろ動かないとだろ。支度は終わってるのか?」
    「富田さんはお土産の量をこれ以上増やさないで下さい。鞄幾つにするつもりですか?」




    富田が自由に動きすぎて書けなくなった。
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