desiremoon☆quiet followPROGRESSdnsnで悪役令嬢転生snaさん。書きかけ進捗、一万字越えたので、後は完成品出来るまでがんばるー。 公爵令嬢ソニア様と言えば、この国で最も美しく才能溢れる令嬢として有名だ。王弟にして、蛮賊と戦い続けた将軍でもある公爵の娘であり、蛮族だとされていたある辺境民族たちと地方風習への理解、及び価値観の違いによる衝突を避けるための、平時不可侵条約を結び、双方、平常時に森で食料採集の際に遭遇した場合は、我が国の民は牙を模した森へ入る許可証代わりの木製細工を、あちらは民族の誇りである牙のネックレスを掲げて見せる。見せなければ、不法侵入者として捕縛、国へと引き渡す。そういった相手に殺されないために守るルールとして民には周知し、あちらには木製の牙を見せることで、森へ立ち入ることを許された食料調達のメンバーであるが、自分の身を守る力がないことを伝える。木製の牙を持った人間が肉食の獣襲われていたら、助けてもらえるとありがたい、逆に牙を取り上げられ追放された森の民がいたら、村で受け入れて欲しい等と、お互いに何らかの利点があるように緩衝地帯での取り扱いを決めたのも、ソニア様。税収のばらつきから、各地の天候の記録、想定される収穫量を計算し、領主による脱税を明るみに出し、不当に高額な税を納めさせられていた各地の民を救ったのもソニア様。王弟にして、将軍である公爵閣下に付き添い、異国の地とあちらの言語を学んであちらが好む果物が我が国で瓶詰めによくされていることが判明し、シロップ漬けによる交易をとりまとめたのも、ソニア様の功績だ。ソニア様は、我が国の守護女神に愛されているに違いない!!そんな婚約者がいるとは王太子様も幸せ者だ!!私は、気がついたらこの国の、王弟とその夫人の間に産まれていた。あの日、あの後、どうなったのかわからない。ブラックナイトが再び引き起こされ、私は、ダンデくんに手を伸ばしたかったと、思って……とりあえず、こんな赤ん坊になったということは、あの後の事など、わからない。けれど、王の弟の娘ということは、国の税金で生かされている身。出来ることは全力を尽くさないとね!!と、思っていた頃が私にもありました。最初は8つの頃だった。この国の算術レベルは低い!!私の知っている範囲からすると、ブラックナイト以前の文明と思われるものよりさらに低い!!そんなとこに、おばあ様の手伝いでここで扱うレベルの数字の数倍の量をロトムの手を借りながらとはいえ捌いていた私に、父の領土の収穫量と税収が可笑しいことに気がつくのは直ぐだった。中抜きしていた役人数人は全員反逆罪として、絞首刑となったけれど、その程度では止まれない。この国の膿みはさっさと絶ち切るに限る。政治の腐敗は王政において致命傷。考古学を学ぶってことは同時に王政時代における政治のアレコレに触れること。父が不正に関与していないことを問い質すと、「ソニアは、聡明だな。将軍として外向きは私が見る。領内のことは一度好きに掃除してごらん」綺麗にして、目端のきく子供達に文字の読み書きと最低限の足し算引き算を学ばせる。そこらの令嬢よりいい教育とも言われたが、商人に騙しとられ、我が領民が愚弄される等ということがあったら、私が許せないという貴族令嬢のわがままとして押し通す。子供達を勉学に出した家には、パンを持ち帰らせる子供一人で食べるには大きく、家族全員にはやや足りないであろう大振りのパンを一つ。逆にいえば、五人家族で家の子供達三人を全員行かせれば両親の主食まで賄えるほどの大きさはある。一年間通えば、最低限の読み書き算術は覚えられる。その前段階の方が、本当は大変だった。紙は高級品。子供の教育にとなると領内全土には難しい。幸い、父の領土には石膏が手に入る術があった。そうとなれば話は早い。うちの領土には王家へ納品するコーデュロイの工房があり、見習いたちの試作品は今まで焼かれていた。絶対に服に出来ない状態にして使うから見習いたちの布を許可が欲しいと伯父である王へと要請する。石板の材料となる石も石切場で発見した。石膏のチョーク、コーデュロイの消し具、石板の三点を揃え、王である伯父にこういう用途で使いたいと見せたのである。「計算の途中など、他者と数字があわないときどちらがミスをしているか、これで目視しやすく、消してしまえばいさかいも消すという約束も出来ましょう。陛下、いかがでしょうか?」「ソニア、お前の父の領土で試し、その成果によっては我が国全土に拡げよう」「はい!!ありがとうございます!!」生まれつき、第一王子の婚約者にして次期王妃が内定しているという立場。心に残る紫と蜂蜜が何年経って大きくなっても変わらない。そんな状態で私が邁進できるのは民の生活の改善だけだった。私の心に深く刻まれた、あの方向音痴のポケモンバカは、この国の貴族には居ない。ユウリとマサルは、隣国の国王の双子の王子王女として姿は確認しているのに。ルリナも、ネズさんもキバナさんも、皆居るのに!!どうして、ダンデくんとホップだけが居ないの!?私は、貴族だ。国に仕え、民の生活を守るために勉学と衣食住を与えられている身だ。その貴族の理念を、正論として目の前で見せ続けることで、王子ならばそれ以上の努力を見せろと突きつけ続けてしまっていたことに、気がついていなかった。「ソニア!!いや、ソニア嬢、君との婚約は破棄する!!民を優先し、貴族として各種改革に乗り出すのはよいが、越権行為著しい君とはやっていけない!!」「御言葉ですが!!私は、全て、陛下あるいは父に相談した上でのことでございますれば!!殿下の言うような専横ではございませんわ!!」「もういい!!君のような押し付けられた婚約者ではなく……」「……もういいは、こちらの言葉ですわ、殿下」「何?」「エミリア様、もうお逃げになっても大丈夫ですわ。陛下にもちゃんと、殿下が言い寄っているせいで、婚約破棄されそうになっている令嬢として報告し、陛下の方から婚約者様への執り成しが手配される筈ですわ」「ソニア様、本当ですか!?ありがとうございます!!」「何を言っている!?エミリアは私の……」「殿下、いい加減にしてくださいませ。貴方は、私たちは!!王族や貴族とは、色恋に現を抜かすのではなく、より良い治世の為に、その身を歯車として邁進するものです!!私はその為に、身につけた勉学、民から聞いた話、他国の風習への理解努力を重ねて、この立場と為し遂げてきたにも関わらず、婚約者である殿下がその調子なのは……」「もういいのだ!!お前の顔など見たくない!!王都から出て行けー!!」だから、それは、こちらの、台詞だ。ソニアの内心に、かつてバトルをしていた前世の頃のような闘志が過る。現世において戦いなど知らない。ポケモンたちもいるけれど、この国においては、ポケモンは人と離れて暮らすのが大半で、王城を含む王都全域は許可された騎乗可能な一部の歩行タイプのポケモン以外の出入りを禁じていて、飼育も禁じられている。「殿下の御下命とあらば、私は父の領土へと下がらせていただきます」そのまま退出し、一連の流れを国王へと書簡で報告することにした。近衛騎士や目端のきく貴族子息や令嬢から、もう情報の流出は著しく、王太子の命令により王都を出る。端的に内容をまとめた書簡は、即日で報告すれば、どうせ王都脱出を止められるだろう。護衛という名の監視もいるだろうが、これで私が直ぐ様、国王の許可もなしに王都を離れるとなれば連絡等でバタバタするだろうから、撹乱も可能だろう。「これを、明日の朝一番で王城へ届けてちょうだい」あれだけの貴族子息の前で婚約を破棄すると殿下が騒いだのだ。私が殿下と結婚するとしたら、貴族は殿下ではなく私を実権者と見るだろう。結婚したいとも思わない。「私の乗れる子は今、王都にいるかしら?」「はい。お嬢様の愛馬であるゼブライカが、王都の外、ポケモンたちの宿にてお待ちしております」「では、私はもう出ます。父には報告も残してありますし、国王陛下からも話があると思います」貴族令嬢としては質素ではあるものの、造りの良い、実践向けな乗馬服は、ソニアも将軍の娘として乗馬、それもポケモンのものに慣れているからだ。戦は人と人のもの。しかし、ポケモンが飼い主を守るため、暴漢の撃退等は認められている。だからこそ、王都ではなく、親の領土に自分の護衛ポケモンを持つ貴族は多い。ソニアのゼブライカは、異国との交渉の際に、ソニアのその聡明さを称えて、あちらの王から贈られたシママが進化したものだ。その親であるゼブライカはあちらの王女カミツレの愛馬だそうで、カミツレが私の姉妹のような人で居て欲しいとソニアに託したのだ。王家に預けようとしたが、国王からしてポケモン嫌いのこの国の王室はそれを受け入れず、ソニアの預かりとなっている。ソニアが乗馬服で外へ向かおうとすることに、護衛は焦る。ソニアは普段、騎士を撒かぬように、敢えてドレスに歩きにくいヒールを使っているが、乗馬服にブーツという動きやすい服装になったら歩みは軽快だ。騎士達のように剣を振るうわけでは無いが、領地ではポケモンたちと共に野山を駆け回ることもあったソニアは他の令嬢たちより余程健脚である。そのソニアが、護衛の騎士への配慮もせずに供一人伴わず、王都の外へと向かうのだ。「ソニア様!!そちらはもう、王都の外にっ!!」「ですから。殿下の御下命通り、この王都から出ていきますわ」「ソニア様!?陛下に、しっかり王命で……」「不要です。殿下がエミリア様に一目惚れし、彼女の優しく穏やかな様子にのめり込み、王太子ということで不敬になってはと断言しなかった彼女に甘えていたことが既に問題なのです。陛下には私の忠告は無視されたことも事前に伝えてありますから、対応をされなかったのは陛下も同じですのよ」ソニア付きの騎士は三人。そのうち二人が、国王への報告と、ソニアの父への報告に走っている。今、ソニアについてきているのは、王太子がソニアが浮気でもすれば婚約破棄できると言い張りつけた、監視役だ。「しかし、ソニア様!!」「……宿まで行くだけです。宿までたどり着けば王都とは呼びません。そこで父からの返答を待ちます」夕暮れも程近い王都のポケモンたちの隔離場所である宿にて、その日、国一番の令嬢がその鮮やかな夕暮れ色の髪を風になびかせ、ゼブライカの背に乗って駆けていくのが目撃される。緑色の乗馬服は、いっそ鮮やかに夕暮れに映え、貴族令嬢とは思えぬ程、鮮やかな乗りこなしに、騎士は置いていかれてしまった。真っ暗な街道に、ゼブライカが走る雷鳴が轟く。雨が来るかと、人々は急ぎ家や宿へと戻る中、ソニアはようやく父の領土へと戻ってきた。「誰だ!?」父の領土、それも父の城までこの森を越えるだけというところで、誰何の声がかかった。「私は、ソニア。この先の城に急ぎ向かうところです」「……城の連中なら、日が暮れたら門を開けない。明日の朝まで、うちで休んでいくといい」父がいない以上、その可能性は考えていた。しかし、城までたどり着きさえすればと同時に、殿下による始末の追っ手がかかっていないとも限らない。同時に、この声に酷く懐かしさを感じる。「……よいのですか?私は追われる身、なのかもしれません」「剣になら覚えがあるから安心して良いぜ」そう言葉にして、男が腰のボールから出したポケモンはリザードン。その尾の炎で照らされたのは、ソニアの心に転生してからずっと残っていた男の、記憶にある最後よりも若い姿。今のソニアと同じ年頃の、頃だろうか。「そに、あ?」「ダンデ、くん?」前世の記憶から、鮮明になるこの男は。「また、迷子なの?」「いや、もう君に手を引かれなくても大丈夫だぜ。夢に見た女性が、なんで……」「夢?ダンデくん、私を夢に見るの?」「とりあえず、俺の小屋がそこにある。お互いに、しっかり話をした方が良さそうだ」そうして、ソニアは、面影のあるダンデに出会ってしまったのだ。二人は、ダンデの小屋で一晩語り明かした。ソニアには、前世なのか来世なのかはわからないけれど、今よりも文明が発達した世界の記憶があること。その世界での幼馴染にダンデがよく似ていること。ダンデには、いつも見る夢があること。その世界でポケモンバトルをするダンデは、幼馴染の女性が居て、彼女がいるから戦えていたこと。そして、その幼馴染と、ソニアがよく似ていること。記憶と夢の中の幼少期の話が一致し、繋がっていきます。間違いなく、ソニアの知るダンデの、この世界での姿なのでしょう。ダンデが知るソニアが、この世界では令嬢としてのソニアであるように。「ソニア、聞きたいことがあるんだが」きっと、これは、今だけだから。「ダンデくん、今日はなに?」「ソニアのカレーが、食べたい」「仕方無いなぁ。とりあえず、一回、帰ってからかな。一緒に来てよ、ダンデくん」お互いの手に触れた瞬間、全てが色付くような、世界が鮮やかに変わりました。王太子の隣で、どれ程絢爛なドレスにキラキラと輝く宝石を纏った時よりも、ダンデの手に触れた今この瞬間の方が余程、ソニアに焼き付く蜂蜜色の瞳と心を絡めとる紫の髪に、愛しさがつのります。だって、ダンデくんだもの。ソニアの中では、それでいいのです。リザードンだけではありません。記憶の中で見慣れたドラパルトやオノノクス、ギルガルドもいます。「俺は、ギルガルドに選ばれたからってことで、王弟閣下にここに居るように言われているんだ」「お父様に?」「……ソニアは、貴族だったのか…………」「ダンデ、くん?」朝の陽射しが、二人の間を遮るように貫きました。「ソニア様、夜も明けました。閣下の城までお供致します」「ダンデ、く」ダンデの指先がソニアの唇を押さえ、親しく呼ぶことを封じたのはこの時が最初でした。「ソニア様、あの記憶は閣下はご存じなのか?」「……うん。知ってる。私の記憶に深く刻まれていたダンデくんのことも」「なら、閣下は王家がどうなるか様子を見ていたんだな。ギルガルドは選定の剣であることに、この世界でも変わりはない」「お父様は、ギルガルドに選ばれた王であるダンデくんと、今の王家を天秤にかけているのね」「ソニア様、行きましょう」「早く、立場など関係ない距離になりたいね」そう穏やかに笑いあっていられたのも、それまで。「公爵令嬢ソニア、死ねぇっ!!」その声とともに斬りかかる、王国の兵が三人。「……俺の前で、剣を抜いたな」ゆらりと、ダンデが傾げた気がした瞬間、彼は、兵士の背後に、背を向けて立って居ました。「え?」「あ?」「へ?」三人の兵から漏れる、間抜けな吐息。同時に、剣は根本から切り落とされ、鎧の下半身も留め具を壊され、膝までずり落ちている。「命は奪わないが、次、ソニア様に剣を向けるなら、死を覚悟してかかってこい」「貴様!!何者だ!?」「この領の者じゃないな?俺は、8年連続領内剣術大会の優勝者だぜ」「なんだと!?じゃあ、貴様が!!」「ポケモンと生活を共にする変人にして、平民でなければ国王陛下の近衛に推薦されると言われた、ダンデ!!」「なんてことだ!!殿下に報告をっ!!」バタバタと去っていく三人は、王都方面へと真っ直ぐ逃げていく。「……この国の王太子、大丈夫なのか?」飼い主であろう名前を出し、逃げる方向もそれを裏付けるも同然な行動をし。「言わないで。その補佐するために婚約者にされてたんだから」「……閣下と相談して、なんとかしよう」あまりにも情けない、王太子の手配力不足。ソニアは婚約者としてフォローを任されていた意味の大きさに呆れしかなかった。ゼブライカの手綱をダンデが握り、城へと帰る。「珍しいな、お嬢様が居る期間は森から出ちゃならないんじゃ……ってお嬢様!?」「彼に、王太子の放った襲われたところを助けていただきました。お父様は戻っていますか?」「は!!今すぐ連絡いたします!!中でお待ちください。ダンデ、お前は森へ戻るのか?」「彼に関しても、私はお父様に話があります。一緒に連れていきますから、彼の分のお茶もお願いします」ソニアがダンデの手を引き「こっちよ」と連れていく。まるで、その手を引くのが当たり前のような動きに、ダンデ以外の全員が目をまるくして見送ってしまった。「なぁ、ダンデって……」「あぁ、弟以外の家族すらマトモに触れない、他人の体温への恐怖症のような症状があった、筈だ。他人が勝手に触れば切るって言われてた」「お嬢様、射止めちゃったかーあのギルガルドを従えた近隣最強の剣士さまを」「俺らも忙しくなるなー。陛下、さっさとうちの閣下に王位渡してくれれば良いけどなー」王妃の浮気が王太子の妊娠時期と重なるが故に、確実に王家の血をひくソニアという相手が必須だった王太子がどうなるのか。そして、選定の剣に選ばれたダンデという存在とソニアという王妃を約束された令嬢。その二人の関係が前世からであることを知る人間はまだ居ない。ソニアがダンデの手を引いて、応接間へと連れていったという話は領主の城中へ広まった。ダンデが他人に触れられることを疎ましく感じるのは、孤高の王としての性質ではないかと言われていた中、ソニアが触れる事への拒否の気配すらもなかった。次期王妃ソニアは、王の隣にあるべき存在。選定を越えた王の雛ともいうべきダンデが王妃となる雛であるソニアへ拒絶がないのも当然なのかもしれない。応接間にて、ソニアはダンデの隣へと座っていた。当たり前のように、ソニアはダンデに寄り添う。王太子が見たら憤死するだろうなと父としても王弟としても思う。幼いソニアの語る、紫の髪、金の瞳。王のような迫力を纏う、戦う男。本当に、選定の剣に選ばれているとは思わなかった。ソニアはなにか本で読んだ男に入れ込んでいると最初思っていたのだ。ダンデという幼くも強い剣士が、人に触れられることを拒否し、進化するとしたらこの少年は王になると判断が可能なニダンギルを、その頃には既に従えていた。紅蓮の竜であるリザードンや、幽霊竜のドロンチ等、この少年は王になりうる少年であり、王都へ王太子となる唯一の王子の婚約者として隔離されたソニアの話していた内容の全てを満たしていた。予知なのかなにかかもしれないと、ダンデを領内の城を囲む森へと住まわせ、なにかと世話を焼く。その剣を振るうものは天性のものがあるが、使う剣がなまくらでは意味がない。身長などを確認し、都度新しい剣や、服を手配する。ポケモントレーナーとしても、剣士としても。おそらくこの国一番の使い手だろう。将軍としての自身が、この少年が本当にソニアの語っていた存在に育つとしたら、国が変わる直前だと察していた。「ソニア、ダンデと会ったか」「お父様、私と彼は……」「いや、二人とも話は私にだけ打ち明けてくれていたから、もしかしたら、とは思っていた。しかし、ソニアの立場を考えれば引き合わせるには問題があった。だが、ソニアの婚約は破棄され、国王と私も喧嘩別れしてきた」「お父様!?」「選定の剣、ギルガルドに選ばれた次の王は、ダンデ、君だ。ソニア、王妃として彼を支える気はあるかい?」「はい、この身の全て、いいえ、この魂が溶け、消えゆくまで、私は彼を支えます」「ソニア……」「言ったでしょう?私達は私達だからって」「君たちの夢の話が魂の記憶だとしたら、元々夫婦の魂なのかもしれない。引き裂けばこの国が神の怒りに触れることになる」夫婦の魂は、互いの身分等を越えて、婚姻を結ぶべし。それこそが国の発展へと繋がるであろう。その言い伝えを悪用して結婚したのが現国王と王妃であり、実際に結ばれているのがダンデとソニアだと考えているのだろう。「ダンデくん。もし、王さまになるのが嫌なら……」「ソニアといるには、そうするしかないんだろう?ならいくらでも戦うぜ」「それだけじゃなくて、その後、国を守っていかなきゃいけないんだよ?王さまとして、時に人を書類の上で切り捨てたりとか……」「ソニア、俺の仕事は?」「……ガラルリーグチャンピオン」「生死に直接ってのは流石に経験はないが、人の人生を書類で掻き回すようなことはスポンサー契約とかで散々やってきたから慣れてるぜ。実務はソニアが現世で覚えているんだろう?教えてくれ」「仕方ないなぁ、ダンデくんは」ソニアの笑顔は、間違いなく、王太子の前にいる頃より美しく、いきいきとしていて。父として、この男となら、国を守っていってくれるという安心感すら感じた王弟は内乱は激しい戦になることを覚悟した。公爵令嬢ソニア、婚約破棄。その第一報が流れた途端、王都から人の流出が始まった。「何故だ!?」「わからんか?王太子になっても、まだ」「父上、どういう意味ですか!?」「お前が婚約破棄をしたソニアは、その才覚をこの国のためにずっと振るい続けてきた。その可憐な見た目に反して、他国や少数部族との交渉の場に向き合ったり、脱税者の断罪等、苛烈に真摯に人と向き合ってきた。民のため、国のためにと尽くしてきた婚約者を捨て、見た目に惚れ込んだ令嬢に付きまとうような王太子に何を期待できると言うのだ?我が弟すら呆れて領地に帰りおった」「それは……」王太子としての重圧は常にあった。しかし、ソニアはその重圧に一緒に耐えてなどくれなかった。まるでそんな重みなどないかのように、王妃へ向けて努力を重ね成果を出し、婚約者であるはずの自分を置いて、政治の場へと踏み込んでいった。脱税していると捕縛された人物の一人は、王太子付の護衛の叔父であり、護衛騎士は一兵士へと落とされた。婚約者の側付きにあたる人物を己の側から引き離したのに、ソニアは『これで正しく税が流れれば飢え死にするような民も減るでしょう』等と綺麗事を言うのだ。「お前の側付きは、汚職をする身内が多い。清廉潔白なモノは皆、ソニアに付きたがるからな」「父上……」「お前に気に入られているから、多少の規律違反、汚職くらいなら握り潰してもらえると思うのだろうな。ソニアはどれ一つ見逃さず、お前が甘い誘惑に負けた愚かな王太子になるのを防ぎ続けてきてくれた」王の溜め息は重い。「今や、実務面はワシが自分で執務をするより、ソニアに任せた方が良いくらいであった。お前がもう少し、本当にもう少し、自分の愚かさを自覚していると思っておったのだ。自分の至らない部分をソニアが補ってくれていると自覚していると、な」この地から去る弟の言葉を、王は思い出していた。『王剣ギルガルドに選ばれた青年を飼い殺しにしてまで、ソニアの婚約者だから守ってきたというのに、もう愛想が尽きた。戦乱を起こす。覚悟しておいてくれ、兄上』きっと、この息子に託すより、民のためになるのだろう。「王剣、ギルガルドを従えよ」「父上!?」「ギルガルドに選ばれた選定されし王がいた場合、ワシはその青年に王位を譲る。王太子は廃する!!」「何故ですか、父上!?」「王妃の浮気があったのだ。お前を妊娠したと目される頃にな」ずっと、直視を避け続けた。数代前からポケモンを王都から排除したのは、王家の人間がギルガルドに選ばれることがなくなったからだ。「え……」「だから、確実に王弟の血を引き、王家の血を身に宿したソニアが居なければ、お前の正当な王位など無い」王弟の夫人は数代前に、王家から離れた当時の王兄の子孫。仮に王家から正当な血が失われていたとしても、夫人の血筋には含まれるはずのもの。「ワシは、もう疲れた。ソニアが男児であればと何度思ったことであろうか。ならば、ギルガルドに選定されたこの国のための王を探せ!!」この愚かすぎる息子のために、血を流すわけにはイカン。王として最後となるであろう大きな決断を命じた途端、国王はその背の重荷が少し軽くなるのを感じた。「ワシの個人資産扱いになっている爵位の類いまで全て、見つかった青年に渡してくれんか?」「陛下、お言葉ですが、まるで、もういる場所まで把握されているのでは……?」「……ワシや王太子を気にして、王弟が長年飼い殺しにしてきたそうだ。王弟の娘であるソニアが嫁ぐ予定のこの王家を守るために、な」Tap 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