聖者の行進目の前の地面から砂埃が舞い上がって、日の光を反射する。
よろけながら立ち上がった圭介さんが、自分の腹にナイフを突き立てて崩れ落ちる。
たくさん人が居る筈なのに何も聞こえなくて、叫び声みたいに場地さんって名前を呼んだ自分の声だけやけにでかく響いた。抱き起こした圭介さんの唇が笑って、何か言ってるのに聞こえない。
どうにかしたくて奥歯を噛み締めたとき、こめかみにゴツンと金属が押し当てられる。目の前の取り乱した相棒を怒鳴り付けた。
あの時の圭介さんみたいに俺の唇が笑って、そのまま視界がブラックアウトする。
「ちぃ、起きろ」
何も聞こえない世界から急に引き上げられて、喉がヒュッと音を立てた。
こちらを心配そうに覗く圭介さんの向こうには夏の空と入道雲。
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