僕に恋人は居ない
いつも無駄に広く感じる家で楽しく過ごしていた
ただ、寂しさはあった
人が居ないだけでここまで静かになるのだな、となる日もあった
"千金良碧華"
久しぶりに山に登りたくて、登山に来ただけなのに 大きな呪霊に乗り、たくさんの蝿頭を引き連れている小さな女の子を見た時は驚いた
色々あったが、あの子は僕の家族になってくれた
誰も居ない寂しい家に、明るい新鮮な空気が流れた
本当の父ではない僕を、「だあ」と呼んでくれる(テレビを見て学んだのか、多分Dadのつもりなのだろう)
碧華は、本当に可愛い
可愛いのだが__
「…碧華 分かってくれないとパパも困るよ」
「・・・やあら・・・・・・」
「…碧華、僕はもう行かなきゃ駄目なんだ」
「・・・やらあ!!!だあーーー!!!やらああーーー!!!!!!」
「………碧華…ごめんね……」
「やらーーー!!!!!どおぶつ、えん、いく、やくそく、したあーーーー!!!!だあ、うぅそつきいーー!!!!」
「ご、ごめんってば…急な任務が入っちゃったんだ、また今度その予定は入れるから、ね?」
「だあ、やああーーー!!!!!」
ぐらり。
「お、落ち着いて!!ね!!あ、明日行こう!!明日、いっぱい動物さんを見に行こう!!」
碧華は、本当に可愛いのだが
まさか術式持ちだとは思っていなかった
たくさんの呪霊を従えている所を見た時は 見えている事など忘れてしまっていたが
碧華は僕とは比べ物にならないくらい、なんとも強大な力を持っていた
"躰獰震天"
簡単に説明すると、彼女はいとも簡単に地震を引き起こしてしまう
日本は地震大国なので、なんとか誤魔化せているが いつかそれも時間の問題となる(テレビに映る地震速報の文字を見る度に申し訳なくなってしまう)
なるべく、上層部にこの子は任せたくはない
情のせいでもあるが、僕は上層部のやり方は好みではない
血は繋がってはいないが、それでも僕の娘となったのだ
「・・・だあ、だっこ」
「抱っこしたら、碧華は許してくれるのかな?」
「あした、やくそく どおぶつ みにいく」
「分かった 約束するよ」
「ゆぃきい」
「指切り? そんなことしなくても僕は約束を……破るかもしれないね 今日破っちゃったし…」
「うん」
「じゃあ、今日はパパの事許してくれる?」
「・・・しょおが、ない」
「碧華は偉いね、僕が知ってる人の中で 1番偉いよ」
「あぉは、おうすばん、がんばる」
「じゃあ、お家は碧華に任せたよ よろしくね」
「いってらっしゃあい・・・」
「お菓子、買ってくるからね」
「おかし!!!!!!!!!!!!!!!」
(「碧華、ただいま 良い子に………………そのチョコだらけの手は何かな」
「あ・・・あ・・・これ、これ・・・チョコがあ・・・に、にげ・・・れーぞーこ、からにげて・・・・」)