ある程度まとまって、やっと眠れるようになった。引継ぎとか、研究成果とか面倒だったが。
ベッドへ向かう途中であくびをするとふと目についた。それは机の上に置いてあった。ホフマン結びと名付けられた紐であり術式だ。それを手に取り、ベットに入る。横になりながらその結び目を一つ一つ確かめるように、慎重に、ゆっくりとふれて、なぞった。そしたらいつの間にか眠っていた。
とても心地よくて、でもなんとなく不思議な感じだった。ソファで眠ってしまった時にいつの間にかかけられたブランケットのようなそんな感覚。例えるならそんな感じで。
起きてみると特段いい気分でもなく、温もりが名残惜しくて、少しの間枕に顔を押し付けた。ぎゅっと目をつぶると涙が少し滲んだ。