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    umizir0510

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    ざっけま

    風邪を引いた食満留三郎雑食満【ホットミルク】



    トイレでゲホゲホと咳をしながら便器に顔を突っ込みぐったりしている留三郎くんを見つけた。咳をし過ぎたのか、時折、ヒューという呼吸が聞こえる。
    伊作くんから連絡を貰って早々に仕事を切り上げて帰ってきて正解だったようだ。息苦しいのか、嘔吐く音が聞こえ、グスンと鼻をすする音と微かな泣き声が聞こえる。
    やはり伊作くんの言う通り体調を崩したようだ。

    「大丈夫かい?」
    「んえ......?あ……ざっと、さん」

    そっと近寄り、背中を擦りながら声をかけるとゆっくりと顔を上げる留三郎くんの顔色は朝に比べるとかなり青白い。背中からは燃えるような体温が伝わりそれだけで熱が高いことがわかる。元・保健委員長はさすがだな。と思ってしまう。
    朝はなんともなかったからきっと急激に体調が悪かったか、彼が隠してたかのどちらかだと思う。きっと後者であるだろうな。と勝手に結論をし、留三郎君の火照った頬に指先を触れるとじわりと熱による汗が指先から感じる。チラリと見えるのはユラユラと揺らぎ、とろりとした瞳が映る。

    「大丈夫かい?」

    もそんな妖艶になんとか耐えしのぎもう一度、できる限り優しく声をかけると再び便器に顔を伏せ小さく首を振った。かなり体調が悪いらしく珍しく弱った姿に私も眉を下げるしかない。

    「吐き気あるの?」
    「は......け、ない。」

    気持ち悪いし、吐きたいけど、吐きたくないし吐けないし、水飲まなきゃいけないし、水飲めないし、けれども脱水が……連絡しなくてごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい。ごめんなさい。仕事戻って。気にしなくていいから…。などと、支離滅裂な言葉を並べる辺り頭は働いてないのだろう。吐き気があるなら吐かせた方が時折楽なのだが、咳が酷く肩で大きく息をしているし滅多に見せない泣き顔に1回横にさせた方がきっと楽だろうな。と思い、ゆっくりと彼を起こし膝の裏と背中にに手を入れる。一瞬びっくりした留三郎君は、抗議しようと声をあげようとするがゲホゲホと新たな咳をだしその言葉は無くした。けれど言いたいことはわかるため、説明する。

    「留三郎君。1回、寝ようか。1回、熱計って、楽な姿勢になろう?ねっ?」

    優しく優しく言うと、意図がわかったのか浅い息をしつつも頷いた。ケホケホと咳をしているのを聞きながらリビングへ移動しソファーへと留三郎君を下ろす。いつもは部屋に置いてあるはずのカバンや上着は乱雑に置かれており吐き気がしてトイレへ急いで駆け込んだという光景が目に浮かぶ。
    カバンや上着を丁寧に椅子へ置いたり椅子の背もたれにかけたりするのと同時に自分のモノもついでに置いておく。自分のはそこそこ適当にやる。普段はアレコレと文句言う彼だが風邪せいかそこまで頭は回っていないのだろう。待っててね。と言い、ザッと手洗いしてからその足で救急箱を取り出す。一般家庭よりでかく数多くの手当て用品が入っているのはよく不運を起こす伊作くんのためなんだろうな。と思うと彼の優しさが思い浮かべているのと同時に伊作くんの不運っぷりが目に見えて分かり細く笑う。解熱剤と体温計を取り、体温計のみを留三郎君に渡せば、彼はそれを受け取り脇へと挟む。見届けた後、キッチンへ移動しレトルトのお粥がないかをチェックする。当然ながらもない。普段は自分も彼も滅多に体調を崩すことなんてないのでお粥なんて言うものはあまり縁がない。そこら辺は危惧しなくても良かった。きっと彼の元同室があっちこっちボロボロになってスーパーの袋を下げてレトルトのお粥なりスポドリなどをお見舞い品として買ってくるに違いない。食べれなくても、幸い缶詰の桃やりんごがあるのでそれを渡せば大丈夫だ。

    「ざっと、さん。」
    「ん?鳴った?何度だった?」

    声がかかりソファーの近くへ行くと、ん。と差し出された体温計が示していたのは38.8度というかなりの高熱だった。

    「あちゃー。高いね。しんどかったでしょ?いつから?」
    「朝...。最初、咳してて、具合悪いとかなんともなくて.....熱っぽさ、も、ないし、大丈夫だな...って、思って……過ごしてたら、なんか、どんどん。しんどくなって...」
    「そっかそっか。」

    ただの咳風邪かと思ったら、しんどくなった……そんな感じなのかな?ゲホゲホ咳をしながら言うもんだから所々しか聞き取れないが大まかに言いたいのはそこら辺だろう。ふわふわとした言葉で言う時はかなり本心に近い言葉でほとんど嘘偽りがない。本当に朝はなんともなかったんだろう。
    頭を撫で、そのまま頬へと移動しゆっくりと再び撫でると擦り寄っている。甘えているのが目に見えて分かり弧を描いた。そのままソファーへと横にさせ、近くにあったブランケットをかける。

    「食欲は?吐き気は落ち着いた?」

    そんなことを聞いて首を振ったり頷いたりをして、簡易的にだが、ただの風邪かな?と呟いた。留三郎くんはそれに聞いてないのだろう。まあ、自分に言った言葉なので気にしなくてもいいのだが。
    フゥフゥと息を吐く留三郎君に、洗面器やコップを用意してくると告げると、きっとお見舞い品を持ってきてくれるであろう伊作君に留三郎君の症状や次の日休むとことをLINEへと送ると、洗面器やコップやらを準備する。
    リビングへ向かうと、ゲホゲホと未だに咳をし続ける留三郎君に水の入ったコップを差し出す。

    「喉乾いたでしょ?ほら、お水。1回飲んだ方がいいよ。水分補給大事」
    「......うん。」

    ボーッとしながらコクンと頷き、コップを受け取ると、ゆっくりゆっくりと水を飲んでいく。ちびちびと飲み半分くらいでテーブルの上にコップを置いた。喉もやられてるのかな?飲む時しんどそうにしていたから、ただの風邪が酷くなっているかもしれないな……きっと喉もやられているのだろうだろ。
    そこで私は腕を組む。はてさて、どうしよか。伊作くんが来るまである程度、熱が下がるまで見て彼の前世で培ってきた診断で聞いてから行くべきか………十中八九、風邪だと思うんだけど………。

    「ざっと、さん?」
    「ん?どうした?」

    クイクイと服を引っ張られると、おえ……という嘔吐きと独特な酸っぱい匂いが一瞬にして香り私は急いで洗面器を留三郎くんに持たせた。
    出るのはさっき飲んだばかりの水だけだった。
    これは。まずいな。
    内心私は焦る。幾ら医療があの頃より発展してたとは言え水分も取れてないとなれば脱水症状にもなる。増してや彼は熱にうなされている身だ。
    再び、伊作君に連絡をいれ、カバンに彼の保健書やお薬手帳やフェイスタオルと財布を詰め込み、知り合いがしている病院へ電話をかけた。

    知り合いによればただ風邪引いていてるだけらしい。水分を吐き出したのはきっと、ずっと吐き気があったのにも関わらず、無理やり半分飲んだから胃がびっくりしたのだろうと。
    ベットの上で点滴を打ってもらいながらすぅすぅと寝る留三郎くんを見ながら安心する。
    病院で測った熱は9度以上で驚いたが知り合いは流行っていますからねとのほほんと言う。

    「ああ、組頭。一応念の為。水よりスポドリを飲ませてくださいね。また吐き出したらここに。私、今日は泊まりなんで。食べ物は果物系……なら食べやすいかと。薬はこっちで用意するので組頭はここで待っててください。」
    「ありがとうね。助かったよ。」
    「いえいえ。食満君、よくなるといいですね。」

    にこやかに答えると知り合いは奥へと引っ込んだ。ケホケホと咳をし続ける留三郎くんは先程よりも随分と顔色がいい。点滴が落ちるのをただひたすら見ていると、かなりだけどかすれた声が聞こえる。

    「大丈夫……だったのに……」
    「あ、気づいた?」
    「たった、いま………」
    「そう。お医者さんによればただの風邪だよ。疲れが出ちゃったんだね」

    前世とは長さが少し違うがそれでも髪質は変わらない。撫でれば、留三郎君は気持ちいいのか、目をとろんとさせる。

    「お医者さんから果物系が食べやすいかな?って言ってたけれども、何が食べたい?」
    「……ぷりん。あの3こセットになってるやつ…」
    「ちっちゃいやつ?」
    「そう……。果肉入っているゼリーは嫌だ……。」
    「わかったわかった。帰りプリン買って帰ろうね?」

    頭を撫でて優しく言えば、留三郎君は頭を撫でていた私の手を取り自分の方へしかも。顔付近まで持っていき擦り寄った。

    点滴が終わり会計を済ませ、おんぶしながら駐車場まで行くとスマホから着信音が鳴る。
    器用にスマホをタップすれば伊作くんからの返事だった。医者から言われた診察結果を打てば速攻で返信が返ってくる。さっき言われた言葉が本当にそっくりそのまま書かれており苦笑してしまう。
    駐車場へ付き留三郎くんを助手席へ座らせると再び伊作くんからメッセージが届いた。

    『留三郎、なにか食べたいとか言ってませんでしたか?例えば、プリン…とか。』
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