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    さめしば

    @saba6shime

    倉庫兼閲覧用。だいたい冬駿

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    さめしば

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    10/1の冬駿小ネタ。台詞オンリーのSSです。たぶん付き合ってる。

    ##冬駿

    「なあ冬居。きょうってさ、お前の日じゃね?」
    「はあ……え、僕の日? どうしてそうなるんですか」
    「十月一日だろ、きょう。『とう』に『いち』で、数字の並びが冬居の名前みてえだなーって」
    「なんだ、ダジャレですか」
    「語呂合わせっつーんだよこれは!」
    「ああ、語呂合わせ。なるほど……それで、なんでまた突然そんな思いつきを?」
    「いやさ、俺きょう日直だったんだけどよ。黒板に日付書いててピンときたんだよなあ、今朝」
    「……ふーん? まあ、言われてみればそう読めなくもない、かな」
    「だろ。冴えてると思わねえ?」
    「安直ですけどね。……それで、僕の日だから特別なことでもしてくれるんです? 山田さんは」
    「あ? なんでそーなるんだよ。誕生日でもないのに祝えってか?」
    「だって、こどもの日は男の子のお祝いをするし、敬老の日はお年寄りに感謝するでしょう。その理屈で言うなら……」
    「お前なあ、俺の提案から一分足らずで国民の休日と肩並べた気になってんじゃねーぞ」
    「やだなあ、そんな大層なこと思ってませんよ。僕はただ……わざわざそういう話をするからには、何か考えてくれてるのかな、とか。ちょっと期待しちゃっただけです」
    「……なんか俺にしてほしーことあんのかよ? 場合によっちゃ考えてやる」
    「え。いいの? それじゃあ……帰ったら一緒に映画観てくれませんか」
    「なんだ、んなことかよ。いいぜ、何観るかはお前に任せる」
    「……実は僕も、今日の日付に引っ掛かってることがあったんですよね。久々に観てみようかなーって。『101匹わんちゃん』なんですけど」
    「オイ、お前もたいがい安直じゃねえか」
    「そういえばこの間、近所でダルメシアン見かけたっけって思い出したんですよ。これは何かのサインかもって、僕の直感が……」
    「どっからの何に対するお告げだよそりゃ。別にいーけどよ……んで、アニメと実写どっちだ?」
    「んー、実写はちょっと……アニメの方が安心して観られるから、アニメがいいです」
    「へーへー。じゃ、あそこのコンビニ寄ってくか。食いもんと飲みもん買って帰ろーぜ」
    「お菓子ならうちにもありますよ?」
    「俺が奢ってやるっつってんの。お前の好きなもん言えよ、三百円以内な」
    「えっ。ずいぶん気前がいいじゃないですか。僕の日だから、ですか?」
    「ちっげーよ。練習のない日くらいねぎらってやろうかと思ってさ。新部長サマの奮闘っぷりを、な」
    「……ごくたまにストレートに優しくしてきますよね、山田さんて」
    「俺はいっつも優しいだろが」
    「それは同意しかねますけど……ありがとう。僕、中華まんが食べたいな」
    「あー、もう出始めてるもんな。けど結構暑くねーか? 今日」
    「いいんですよ、好きなんだから。……ところで駿君。ひとつ聞いてもいい?」
    「何だよ改まって」
    「今朝、日直の仕事しながら僕のこと考えてた、ってことですか?」
    「……ワリーかよ」
    「まさか。意外と愛されてるんだなって、ちょっと安心しました」
    「……調子乗る奴のおやつ代は百円に引き下げんぞ」
    「え、そんな! ひどいじゃないですか!」
    「お前が妙なこと言うからだろ!」
    「せめて二百円にしてくれません? 僕のあんまんが……!」
    「バーカ。そんなに食いたきゃ、俺に勝ってみろっての。コンビニまで競争すんぞ、冬居!」
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    さめしば

    TRAINING付き合ってる冬駿のSS
    お題「黙れバカップルが」で書いた、井浦と山田の話。冬居はこの場に不在です。
    お題をお借りした診断メーカー→ https://shindanmaker.com/392860
    「そういえば俺、小耳に挟んじゃったんだけどさ。付き合ってるらしいじゃん、霞君とお前」
     都内のとあるビル、日本カバディ協会が間借りする一室にて。井浦慶は、ソファに並んで座る隣の男——山田駿に向け、ひとつの質問を投げ掛けた。
    「……ああ? そうだけど。それがどーしたよ、慶」
     山田はいかにも面倒臭そうに顔を歪め、しかし井浦の予想に反して、素直に事実を認めてみせた。
    「へえ。否定しないんだ」
    「してもしゃーねえだろ。こないだお前と会った時に話しちゃったって、冬居に聞いたからな」
     なるほど、とっくに情報共有済みだったか。からかって楽しんでやろうという魂胆でいた井浦は、やや残念に思った。
     二週間ほど前のことだ、選抜時代の元後輩——霞冬居に、外出先でばったり出くわしたのは。霞の様子にどことなく変化を感じ取った井浦は、「霞君、なんか雰囲気変わったね。もしかして彼女でもできた?」と尋ねてみたのだった。井浦にとっては会話の糸口に過ぎず、なにか新しいネタが手に入るなら一石二鳥。その程度の考えで振った一言に返ってきたのは、まさしく号外級のビッグニュースだった。——聞かされた瞬間の俺、たぶん二秒くらい硬直してたよな。あの時は思わず素が出るとこだった、危ない危ない。井浦は当時を思い返し、改めてひやりとした。素直でかわいい後輩の前では良き先輩の顔を貫けるよう、日頃から心掛けているというのに。
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    さめしば

    MOURNING※供養※ 灼カバワンドロワンライのお題「食欲の秋」で書き始めた作品ですが、タイムアップのため不参加とさせていただきました。ヴィハーンと山田が休日にお出掛けする話。⚠️大会後の動向など捏造要素あり
     しゃくっ。くし切りの梨を頬張って、きらきらと目を輝かせる男がひとり。
    「……うん、おいしー! すごくジューシーで甘くって……おれの知ってる梨とはずいぶんちがう!」
     開口一番、ヴィハーンの口から出た言葉はまっすぐな賞賛だった。「そりゃよかった」と一言返してから俺は、皮を剥き終えた丸ごとの梨にかぶりついた。せっかくの機会だ、普段はできない食べ方で楽しませてもらおう。あふれんばかりの果汁が、指の間から滴り落ちる。なるほどこれは、今まで食べたどの梨より美味い。もちろん、「屋外で味わう」という醍醐味も大いに影響しているのだろう。
     ——俺とヴィハーンはふたり、梨狩りに訪れていた。

     長かった夏の大会が幕を閉じ、三年生はみな引退し、そしてヴィハーンは帰国の準備を着々と進めていた十月下旬のある日——「帰る前になにか、日本のおいしいものを食べたい!」ヴィハーンから俺に、突然のリクエストが降って湧いたのだった。
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