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    カナモリ

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    🔥🎴を買いますが、閲覧は雑食。地雷は自分で避けます。成人済み

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    カナモリ

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    ピュアピュア🔥🎴の進捗。リーマン🔥さんと大学生🎴くん。💎⚡️も出てくるのと、🔥さんが以前異性と何かあったんだなって匂わせるところがあります。何でも大丈夫な方のみ閲覧どうぞ。
    何回も描き直してるので、以前も進捗を上げてて、内容被ってます。

    ピュアピュア🔥🎴 冷たい水で手を洗い、鏡で自分の顔を見る。
     情けない顔をした自分と目があって、ふうと深くため息を吐く。

     どうかしてた。
     なんでこんなところまで来てしまったんだろう。

     居酒屋のトイレで、俺──竈門炭治郎は、数時間前に友人の我妻善逸との会話を思い出し、再びため息を吐いた。
     
     「自分の彼氏が飲み会で女の子と楽しくやってないか、炭治郎だって気になるだろう。どうせ宇随さん、女の人に囲まれて鼻の下伸ばしてるんだぜ。ムカつく。確かめに行こう。場所は盗み聞きして押さえてある。止めたって俺は行くからな」
     そう言って夕方のコーヒーショップで善逸は叫んだ。
     「宇随さんは鼻の下伸ばしたりしないいんじゃないかな、善逸がいるんだし」と言った炭治郎は、「女の人と楽しくやってるところを否定しろよ」と半泣きで返され、墓穴を掘ったと顔を顰めた。
     
     高校からの友人で、現在も同じ大学に通っている善逸は、優しくて顔も整っていると思うのだが、如何せん自己肯定感が低い。
     その為か、社会人の年上の彼氏――宇随さんが大層もてるからか、しょっちゅう浮気を疑うような事を言い出す。
     俺からしてみれば、宇随さんは善逸と喧嘩しながら楽しそうにしているし、実は結構一途だと思っている。
     だけど、照れ臭いのか善逸には軽薄そうな態度を取ったり、揶揄ったりする子供っぽいところがあった。
     その為か、絶対浮気現場を押さえてやると意気込む善逸を止められずに、仕事の飲み会をしている居酒屋へ着いてきてくれと言われ、のこのこついてきてしまった。
     
     それと言うのも、友人が暴挙に出ることがないか止めるという大義名分の他、その飲み会には俺の彼氏もいるからだ。
     俺の彼氏である煉獄杏寿郎さんは、宇随さんと同じ会社に勤める5歳年上のサラリーマンだ。

     俺と煉獄さんが付き合い始めたのは3ヵ月程前。
     大学の近くにある、行きつけの定食屋の主人が、煉獄さんと宇髄さんの友人だったそうで、よく店で見かけていた。
     ある日、隣に座っていた煉獄さんに向かってコップを倒し、水をかけてしまった。
     青くなって謝る俺に、「水だしそのうち乾くから気にするな」と言って、食べ終わるとさっさと店を出てしまった。
     おろおろしていた俺に、店主は「煉獄が気にするなと言うんだから気にするな」と言ってくれたが、どうしてもそのままスマ好きになれず、翌日パンを渡した。
     実家がパン屋なので、俺の手作りだったが、一応店に出しているものだし気持ち悪くはないだろう。と、紙袋いっぱいに詰まったパンを、翌日定食屋に持って行った。
     驚いた顔をしていたけど、「律儀な少年だなぁ」と豪快に笑って受け取ってくれてほっとした。
     
     いつもお店で見る煉獄さんは、仕事ができるキリッとした大人の男の人、といった印象だったので、こんな風に笑うんだと思ってなんだかドキドキした。
     
     その翌日「すごく美味かったから、買いに行きたい。店を教えてくれ」と言われ、炭治郎は嬉しくなった。
     あれ、うちの店のパンで俺が作ったんです……と照れながら言うと、「あんな美味いパンが作れるなんて、君はすごいな!」と手放しで褒められ、なんだかむず痒い気持ちになる。
     その後、なぜか意気投合し、連絡先を交換し友人になった。
     煉獄さんは、年下の俺の事をとても尊重してくれるし、明るくて頭の回転が早く、いくら一緒にいても飽きる事がない。
     むしろ、もっと沢山この人と知りたいと思い、俺の頭の中は煉獄さんでいっぱいになった。
     弟みたいに煉獄さんに懐き、それを受け入れて貰って、楽しくて仕方なかった。
     そうなると、次第に善逸と宇髄さんも交えて飲みに行ったり遊びに行くようになった。
     皆んなで遊ぶのも楽しいけれど、なんとなく時々物足りない気持ちに戸惑った。

     そして、煉獄さんと宇髄さんはとても目立つので、女の人からしょっちゅう声をかけられる。
     綺麗で大人っぽい人や、芸能人みたいに可愛い人に声をかけられて、善逸は興奮と緊張でなんだか様子がおかしかったけど、2人は全く相手にしない。
     善逸が、どうせあんた達はモテるだろうし慣れてるんだろって悪態をついたら、宇髄さんが「そうだよ。俺らがモテない訳ないだろ」と笑うので、善逸が荒ぶって大変だった。
     そのまま宇髄さんが、2人がいかにモテるかという武勇伝(?)を聞かせてくれたので、そういえばこの人たちはこんなに異性から好意を寄せられるのに、なんで恋人がいないんだろう疑問になって聞いてみると、「興味ない。炭治郎と遊ぶ方が楽しい」なんて嬉しいことを言ってくれる。
    「煉獄はあんな感じでくるもの拒まず去るもの追わずだし、面倒な相手とか嫌いだからな」と、宇随さんが茶化すように言ったら、煉獄さんがムッとした顔で「不誠実な事をした覚えはないし、自立した相手が好きなだけだ。それに、恋人がいなくても今とても充実している」と返した。
     煉獄さんに恋人が出来て、遊んで貰えなくなったら寂しいと思ってしまったので、その答えになぜだか酷く安堵した。

     そんな時だった、煉獄さんが出張先の土産物屋で、俺を思い出したから、とクッキーを買ってきてくれたのは。
     「市松模様の抹茶のクッキーが、炭治郎の着ていた服みたいだったから」
     でも、我妻の分を買い忘れたから、これは内緒でもらってくれないか。とちょっとイタズラっぽい顔で笑う煉獄さんを見て、胸がいっぱいになった。
     煉獄さんが、一緒にいない時に俺の事を思い出してくれたのが嬉しくて、なんだか叫びたくなったし、何ならジャンプしてそこら辺を駆け回りたくなった。
     変なやつだと思われたくなくて我慢したけど。

     その頃には、煉獄さんへの気持ちはなんだろう、とぼんやりとした疑問を持つようになっていた。
     考えても答えは出なかったので、まあいいかと思っていたら、いつの間にやら宇髄と善逸が交際を始めていた。
     「俺ら今付き合ってるんだ」と、宇髄さんに言われた時には驚いたけれど、2人が並ぶ姿はなんだかとてもしっくりきたし、なにより善逸が幸せそうなので俺も嬉しかった。
     
     だが、そうなると、必然的に俺と煉獄さんが2人で会う回数が増える。
     そして煉獄さんの家で2人でご飯を食べていたら「君と付き合いたいんだが、どうだろうか」と言われた。
     びっくりしたけど、喜びで胸が震えた。
     そして、その時初めて、自分の気持ちが恋心だったと自覚し、交際が始まった。
     お付き合いをするのは初めてな上、相手は男の人だし勝手がわからなかったが、煉獄さんといるのは楽しくて心地よかった。
     食べるのが好きな煉獄さんは、美味しいお店に詳しくて沢山連れて行ってくれたり、俺の知らない遊びも色々教えてくれた。
     一緒にいると沢山笑って幸だった。

     しかし、煉獄さんは一緒に街を歩けば老若男女振り向く美男子の上、性格まで良い。
     なんで俺と付き合ってるか疑問に感じていたが、大学の先輩達の雑談の謎が解けた。
     何人かで遊んだりしていたらグループ交際は往々にしておこるらしい。
     なるほど、煉獄さんも俺といると、なんとなく収まりが良かったのかもしれないと思った。
     だって、付き合ったからと言って煉獄さんの態度は今まで通りだったし、恋人らしいことと言えば、人混みで手を繋いだことくらいだった。
     はぐれないように、と俺の手を引いて煉獄さんはずんずん歩いた。早足だったから後ろ頭しか見えなくて、どんな顔をしていたのかわからなかったけど、結んだ毛先が機嫌良さそうに跳ねるのを見て、なんだか嬉しくなった。
     お付き合いを始めて3ヶ月、そんな感じで概ね問題なく過ごしていた。
     だけど、先日小学生の弟が彼女と手を繋いで歩いてるのを見て驚愕した。
     「さっきの子、友達?」と聞くと、「彼女!」と無邪気に返された。
     あっけらかんとした物言いに動揺し、「手とか繋ぐんだね……と」言うと、「うん。好きだから手繋ぎたいの。可愛くて大好きなんだ」とニコニコと笑った。
     
     好きだから手を繋ぎたい。
     可愛いから大好き。
     実にシンプルだ。
     そして、俺たちの進展の無さの原因は、もしかして俺の魅力がないからなんじゃあ……と気がついた。
     昨今の小学生カップルでさえ手を繋ぐのに、俺たちときたら。
     ぐるぐると悩んでいたら、もしかしてこのまま友達に戻ったりするなんてこと……と悪い方に思考が進んだ。

     そんなふうに不安が渦巻いていたとき善逸に誘われ、煉獄さんはどうしているんだろうと気になって居酒屋まで来てしまった。
     だけど、お店が一緒だからと言って、広い店内で都合よく見つかるわけもない。
     「多分、宴会室があるってHPに書いてあるからそこだな」
     意気込んで店を訪れたものの、いざ到着すると冷静になったのか善逸は意気消沈した。
     多分、煉獄さん達の様子を見ることはできない。
     残念な気分と、安堵がないまぜになって気疲れした俺たちは、仕方なしに食事をした。
     トイレに立って、ぬぐいきれないモヤモヤを洗い流すよう入念に手を洗ったが、一向に気分が晴れない。
     やっぱり、煉獄さんを疑うようなことをしてしまった罰だな、とため息をつく。
     そのとき、ふいに宇随さんが言っていた言葉が頭をよぎった。
     『煉獄は面倒な相手とか嫌いだからな』
     こうやって偵察みたいな真似してるのがバレたら絶対嫌われるんじゃないか。そう思うと、急いでここを離れた方がいいのではと気持ちが焦る。
     あわててトイレを出たところで、自分の運の無さに俺は膝から崩れそうになった。
     
     「炭治郎?」
     煉獄さんが廊下の向こうから歩いて来て、俺を見つけて驚いていた。
     それはそうか、店内にトイレは1つだし、長時間手を洗ってたら鉢合わせるか……。

     「偶然だな」とニコニコ機嫌がよい煉獄さんに、そうですね……と返事をするが、まともに目が見れない。
     脂汗をかいて目を逸らす俺を不審に思ったみたいで、「君1人か?」と聞かれ観念する。
    「善逸と一緒です。偶然じゃなくて……煉獄さん達のこと、コッソリ覗きに来ましたすいません……」
    「覗きに? なんでだ?」
     不思議そうな煉獄さんに、罪悪感で潰れてしまいそうになりながら、もうこうなったら全て包み隠さず話そうと決意した。
     「お……女の人に囲まれて、楽しそうにしてないか覗きに来ました……」
     驚いたように目を見開き、真顔で固まる煉獄さんに、すいませんでしたと頭を下げる。
     「ちょっと、待ってなさい」と言った煉獄さんの声は平坦で、幻滅されたと思うと指が震えた。
     そのままそこで待っていたら、宇髄さんと連れて戻ってきた。
     戸惑っている俺に宇髄さんは、「お前、善逸に無理矢理連れてこられたんだろ。アイツしょうがねぇな」と笑って背中をバシンと叩かれた。
     「いえ……俺が、ついて来たんです」
     無理矢理止めようと思えば止められたんだ。善逸1人に責めを負わせるわけにはいかない。
     「ふぅん?」
     宇髄さんは面白そうな顔をして、煉獄さんの肩をバシッと叩いた。楽しそうな彼と相反し、煉獄さんは難しそうな顔をしている。
     疑うような真似をしたんだから当然か、と気落ちしながら、言われるがまま善逸のいる席を案内する。
     善逸は、連れ立って訪れた俺たちに驚いていたが、沈痛な顔をした俺を見て、ごめんと手を合わせた。
     「善逸〜。お前、俺がモテてるの心配で見に来たんだって?嫉妬の塊じゃん。俺の事大好きだな」
     宇髄さんはしょんぼりと萎れた善逸にそう言って、肩に腕を回して頬をぐりぐりと突き回した。
     「ハァ? 大好きとかじゃねーし! 自惚れんなよこの筋肉ゴリラ!」
    ぎゃいぎゃいと賑やかに言い争っている2人を尻目に、煉獄さんは俺たちの伝票を持ってさっさと会計を済ませてしまった。
     「あの、お金、払います……」
     「いいから」
    そう言って、俺の手を引いて店を出た。
     あんなに手を繋ぎたかったのに、二度目がこんな形になるなんて。
     早足で歩く煉獄さんに送れないよう、小走りで駆けた。
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