Catch you『早くおいで。オレのところに。』
暗闇の中、声が聞こえた。甘くて穏やかな口調のそれ。懐かしい。懐かしい?どうして?
『なんで来てくれねぇの』
急に空気がピリッとした。また怒らせちゃったみたいだ。……また?頭の中がぐちゃぐちゃだ。声の主に話しかけようとしたが、何故か声が出ない。
『…会いたい。…っ!会いたいよ!_____!』
泣きながら訴える誰か。知っているようで知らない誰か。行かなきゃ。会いに行かなきゃ!
無我夢中で暗闇の中を走り出した。わずかに差し込んでいる光を見つけて、手を伸ばす。
○●○●○●
どすん!
「−−−−−−−−−−ぅえっ!」
少年はベッドから落ちて目が覚めた。
「さっきのは夢だったんだ。」
夢は儚い。起きた瞬間まではよく覚えているのにも関わらず、しばらくするとおぼろげになって、そして、忘れてしまう。少年が見た今回の夢もそれに当てはまる。エレメンタリースクールが休みなので探検に出かけようと、自分の肩まである金色の髪を整えているうちに、夢のことをすっかり忘れてしまった。少年は探検が大好きだった。
1925