深海ペンギンの見る夢1ぐっすり寝てたいうのに、隣室が壁蹴るもんだから目が覚めて。おい、穴空くぞ。隣室、先週から陸慣らしに揚がってきてる新入生の双子。手足長すぎて余ってるんだろ、寝相改善しろ、ここは海ん中じゃねぇ。
明日起きたら言ってやる考えながら寝返りを打ったらまた一撃。
「なんだ、」
同室のヤツも起きたらしく唸ってる。
「リーチのどっちかだろ」
まだ咄嗟に区別がつかないが、手足をもて余してそうなのはデカいほうか。
「寝相にしてはキツくないか」
「えぇ~」
お互いベッドにかじりついて、もそもそ言ってる間にヒィヒィ高めの声まで聞こえてくる、ほんと壁薄いな。
おまえら、さっき寝たばっかりじゃねぇのか、夜行性なおせ…まぁ、俺らが世話役だからね、後輩になるかもしれない陸揚げされたばっかりの稚魚の様子を見に行かないとね、あくびを隠さず隣室の扉をノック、するところで先に開いた。
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