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    Satsuki

    短い話を書きます。
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    Satsuki

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    ◎無双のレトユリとシェ⚔くん。どこかのエンディングの後のいつか。短い。220905

    傭兵たちの邂逅「よお、二人とも偶然だな。それに、久しぶり!」
     シェズが気安く片手を上げて挨拶するので、ユーリスは懐かしさに緩む頬をそのままに笑顔を返した。
    「おう。元気そうだな、シェズ」
    「何年ぶりだろう、本当に久しいな」
    「ベレトも相変わらずって感じだな。二人の噂は聞いてるぜ、ファーガスの暗黒街を統べる……」
    「っと、滅多なことを口にするなよな。お前の傭兵団まで危なくなるぜ?」
     ユーリスに止められ、シェズは苦笑いした。その名を口にすることも憚られる、フォドラの裏社会の総統とその用心棒。そのどちらもが目の前にいるのだ。あの戦争が完全に終結した後、二人はささやかな婚儀を挙げて結ばれていた。いつの間にそんな仲になっていたのかと、報告を受けたシェズは驚いたものだ。確かに二人が一緒に作業をしたり、戦場で背中を預け合って戦っていたりする場面は見かけていたが、同じ剣士として通じ合うものがあるのだろうと思っていた。それが、互いに想い合い、結婚の約束をしていたなんて。
     二人がジェラルト傭兵団から離れたという噂も、ファーガス西部の貧民窟を中心に活動する組織の頭、『人食い燕』とその傍を決して離れない剣士の話も耳に入っていたが、当人たちに会うのは本当に久しぶりだった。シェズの方も自分の傭兵団を率いてしばらくが経っている。守るものも、自分の傷も増えた。なのに、ベレトとユーリスときたら、まるであの人変わらぬ様子でそこにいるのだった。
    「それにしても、二人とも全然変わらないよな。あの戦争が終わって何年になる? 25年以上は経ってるぞ」
    「シェズは傭兵団長として貫禄がついたな」
    「二つ名は『双剣の』で定着しちまったな? まあ、一番似合ってるけどよ」
     年相応に成長し、壮年期の盛りを過ぎようとしているシェズに対して、ベレトとユーリスの見た目はあまりに変化がなかった。ユーリスは相変わらず手入れの行き届いた髪をゆったりと肩に遊ばせ、流行りの色を使った化粧で美貌を引き立たせている。対して、ベレトの方はと言えば、本当にこれといった変化がない。邪魔にならない長さに切った髪と、機能性を重視した装備。結婚してからは伴侶の手が入っているのか、端々にセンスの良い小物や洒落た形の留め具が光っているが、控えめな表情も穏やかな口調も本当に変わりがない。シェズは二人を前にしていると、自分までまだ青二才だったあの頃に戻ってしまったような気分になって、なんだか奇妙な心地だった。
    「紋章持ちは長生きするって聞いたことがあるが、こうも変化がないものか? というか、二人が紋章を持ってるなんて、知らなかったぞ」
    「いや、自分も知らないんだ。調べていない」
    「まあ俺様が美しいのは今に始まったことじゃねえしな、気にすんなよ」
    「いや、少しは気にしたほうが良い気がするが……」
     ぽん、とシェズの肩に手を置き、ユーリスはきらりと目を輝かせた。
    「ところで、だ。お前の傭兵団にここで会えたのも何かの縁だ、ちょっと仕事を請け負っちゃくれねえか?」
    「……なんだか嫌な予感がするけどな。まあ昔のよしみだ、ちゃんと報酬が支払われるなら喜んで手伝うぞ」
    「よっし、それじゃあ一杯やりながら話そうぜ!」
    「酒か……俺は遠慮しておこう」
     ユーリスに促され、宿場への道を三人で並んで歩いて行く。懐かしい友人に左右を挟まれると、本当にあの頃に戻ったようだった。二人が一体どんな話を聞かせてくれるのかと、シェズは己の心が若者のように浮かれるのを感じながら、変わらぬ友人たちの声を聞いていた。
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    Satsuki

    BLANK全然明記していなかったのですが当方が書いている捕虜フェリは全てざじさん(@zazi_333)の素敵な捕虜フェリのファンフィクです。
    また書きたいところだけ書きました。シルヴァンにおいたをする悪い捕虜フェリです。全裸だけどえっちではないです。多分この後えっちなお仕置きをされる。されてほしい。
    ぼんやりと、冬の朝日が雪の上を照らし出すように意識を取り戻したのは幸運だった。フェリクスはその身を包んでいる温もりが、毛布ではなく湯によるものだと知覚したあとも、寝息を装い瞼を閉じたままでいる。ちゃぷ、と水面を揺らして、背後にいる誰かがフェリクスの肩に湯をかけている。その誰かの裸の胸板がフェリクスのぐったりと力の抜けた背を受け止めて、首を肩に凭れ掛からせている。小さく聞こえる機嫌のよさそうな鼻歌。フェリクスはまだぼんやりとする頭で薄っすらと目を開き、蝋燭の炎にちらちらと揺れる湯船を見た。
     そこから先は、ほぼ脊髄反射で体が動いたと言って良かった。
     まず最初に、背後の人間以外、周囲に人の気配が感じられなかったことがフェリクスをそうさせたと言える。それに、狭い浴槽の中に大の男が二人詰め込まれていたことで、足が不自由なフェリクスでも相手の足の間で体を支えることができた。なにより相手が油断しきっていたことが勝因だったが、彼も数時間にわたっての性交に疲労していたのだろう。だからフェリクスは、瞬時に身を翻して彼の濡れた赤い髪を掴み、渾身の力を込めて浴槽の縁に頭を叩きつけてやることができた。
    1988