Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)を中心として、登場人物の心情と空を飛ぶ描写に力を入れて書いています。
    年齢不詳の雀たちや、2人が惹かれあっていくところも書いていきますよー!!
    BL苦手な人は退避ッ!!
    顔あり、白肌、衣装や設定など変更してあるので苦手な人は退避ッ!

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 52

    咲良(さくら)

    ☆quiet follow

    本編② 雨林にて 〜後編〜

    skyを元にしたオリジナルキャラクターたちのお話しです。

    *雪白(ゆきしろ)=師匠と一緒に原罪へ行くが転生せず行方不明に。師匠を探しているときに紺碧に出会う。 
    *紺碧(こんぺき)=雨林で雪白を見つける。

    ##星くず書庫
    ##本編

    本編② 雨林にて〜後編〜全身ずぶ濡れになりながら雨林を抜け、雲と風を上手に使い高度をあげていく。
    飛ぶのがうまい奴は風も読む、と師匠が言っていた。
    強い風ならなんとなく肌で感じるが、弱い風、これからくる風は読めない。
    捨て地の風は重いし、楽園の風は軽い。
    紺碧の飛びかたは風と戯れるような飛び方だった。
    大きな雲のそばを流れる強い気流を使い、ケープを回復しながら速度をつけ、向かい風は体を回転させて抵抗を最小限に。
    つないだ手から俺のエナジーが紺碧に流れていき、彼のケープにさざ波のような光の波紋がゆっくり広がる。
    時々振り向いて俺の様子を伺ってくれるのが少し嬉しい。
    大きな手と、余裕のある飛行。
    彼の負担にならないようにと身構えていたが、少し力を抜いて甘えてしまってもいいかもしれない。
     

     
    ふわりと降り立ったのは森の中にある3階建てのツリーハウスの前。
    喫茶店のような雰囲気だが看板がない。
    「たっだいまぁ!」
    元気に言いながら彼が入り口から店内に入る。
    彼の店なのだろうか?
    なかには3人の小さな星の子。
    3人とも同じおさげの髪型、初期ケープ。
    雀だろうか。それにしては小柄だ。
    『まぁーーーー!』
    3人が同時に同じ声で、しかも両手を頬に当てた同じ仕草で甲高い叫び声をあげる。
    三つ子だろうか。
    「可愛らしいお客様!」
    「どうぞお入りになってぇ!」
    「・・・ボソ・・・良い、良いぞ・・・」
    三つ子は(一人をのぞいて)かなりのテンションで俺を出迎えてくれる。
    この時点ですでに俺はかなり気圧されていた。
    店内の中心にはまだ火のついていない焚火があり、まわりに低い椅子、さらにそれを囲むように客席が並んでいた。
    席数はさほど多くはない。
    窓にも入り口にもドアはなく、自由に出入りできるようだった。
    「こちらの3人は、僕の店を手伝ってくれているご婦人がた」
    「こはくとうですわ!」
    「こんぺいとうですわ!」
    「・・・かりんとう・・・」
    順々に頭を下げてくれるが、外見では見分けがつかないし、喋り方ではかりんとうさんしか分からない。
    「ゆ、雪白です。 よろしくお願いします」
    気迫で負けたらだめだ。
    でもなんで集団の女の子ってこんなに圧があるんだ。
    魔法だろうか幻覚だろうか、3人の周りにお花畑が見えるような気がする。
    「礼儀正しい子ですわー!」
    「創作意欲が湧きますわ!」
    「・・・水も滴るなんとやら・・・」
    なんの話しだろうか。
    「3人ともとってもパワフルで、そして大体どっかのネジが飛んじゃってる・・・」
    ニコニコ話し始めた紺碧の口を、こはくとうが手にした布巾でビタンとふさぐ。
    それ、雑巾・・・
    身長差をものともしない速さだった。
    「お口にレジン流し込んで固めますわよ」
    「・・・第一印象、だいじ・・・」
    ジト目で睨む3人の雀さんと、雑巾で口封じされたにも関わらず平然としている紺碧さん。
    この4人の関係ってどんな関係なんだろう。
    「だいたい!今日も何かくっついていますわよ?!」
    こんぺいとうがビシ、とほうきで紺碧の髪を示す。
    ええ?ととぼけた表情の紺碧の後ろ髪を見ると、小鳥が絡まっていた。
    「あああ、ごめんね、ごめんね」
    「今日もって、よく何か付けてくるんですか?」
    「ちゃんと髪を結わないと、大概なにか付けて帰ってきますわ」
    プンプン言いながら小鳥を解放すると、窓から逃がしてやる。
    そんなに絡まるものだろうか。
    紺碧は悪びれた風もなく えへへと笑って雨で濡れたケープを脱いで焚火のそばの椅子にかけた。
    雪白くんも、と手を差し出してくれたので、俺も彼にならってケープを脱ぐ。


     
    焚火に火が灯り、俺はその近くの席に座らせてもらった。
    暖かいお茶を出してもらい、寒くはないがなんとなく両手でカップを包むようにして手を温めてみる。
    「疲れてない?」
    斜め前に座った紺碧がゆっくりとお茶を飲みながら聞いてくる。
    少し微笑んでうなずき、俺もお茶を口に含む。
    美味しい。
    熱いお湯で入れたはずなのに、生の葉を鼻先にあてたような新鮮な香り。
    「今日はもう日も暮れるし、ご飯食べていったら? 僕はお店があるからちょっと忙しくしてるけど」
    ほっとする火の匂いと、温かいお茶に、身体が外側からも内側からも暖まっていく。
    三つ子の誰かが料理をしている。
    開店の準備か、厨房だと思われる場所から何かを炒める音と香り。
    なんでこんなに安心するんだろう。
    目の前の紺碧は、おおらかで、壁を感じさせない雰囲気の人のようだ。
    出会ってあまり時間が経っていないのに、不思議な人。
    あまり誰かに甘えるのは得意ではない。
    でも、しばらくここに居たいくらい居心地がいい。
    俺は人恋しかったのだろうか。
    「・・・ありがとうございます。甘えさせてもらいます」
    素直に、言葉に甘えさせてもらうことにした。
    「雪白くんはゆっくり休んでいてね」
    紺碧はうんうんと頷きながら、俺の頭をなでてくれた。
     
     


    僕は、雪白の頭をなでながら痩せているな、と思った。
    長い睫毛に縁どられた目元に疲れも見え隠れする。
    今までどうやって生活していたのかな。
    ちゃんと食事は摂れているのだろうか。
    よく見ればケープもしばらく手入れされていないのか、ほつれや破れもある。
    紅藤が大切にしていた弟子。
    まだ少年の面影が残る雪白を見守ってやりたいと思う。
    自分に弟子がいたことはないが、いたとしたらこんな心境になるのだろうか。
    紅、この子が一人でも大丈夫になるまで、僕がしばらく手助けするよ。
    どこでなにをしているんだ。
    早く帰ってこい。
    アンタは無責任に居なくなるような奴じゃないだろう。
    真面目そうで芯の強そうな青年。
    まっすぐに飛び立てば、きっと美しい。
     


    こはくとうさんがお風呂に案内してくれ、食事ができるまで休むようにと部屋を用意してくれた。
    火鉢がおかれた簡単な部屋。
    貸してもらったタオルも衣服も、柔らかくお日様の香りがする。
    火のそばに座って一日を思い返していると、どっと疲れが襲ってきた。
    呼ばれるまでのあいだ、そう思い目を閉じる。
    俺は敷物の上に座り込み・・・そのまま眠ってしまった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator