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    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)を中心として、登場人物の心情と空を飛ぶ描写に力を入れて書いています。
    年齢不詳の雀たちや、2人が惹かれあっていくところも書いていきますよー!!
    BL苦手な人は退避ッ!!
    顔あり、白肌、衣装や設定など変更してあるので苦手な人は退避ッ!

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    咲良(さくら)

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    本編⑥ 「ゆずれない」

    「自分の翼で勝負しようね」

    つ ぶ し て や る

    「どう?ヤるでしょ?」

    僕、性格悪い?

    最少のエナジーで最大の加速を。

    ##本編
    ##星くず書庫

    ゆずれない天球儀エリア。
    金色の輪をいくつか重ね球体を象(かたど)った巨大なオブジェが、規則正しく回転しながら空中に浮かんでいる。
    金属がきしむ音が重々しく、城壁に囲まれた空間に轟き渡る。
    建物はどれほど高くそびえているのか、尖塔から眺める眼下には雲海が広がっていた。




    峡谷の空気は冷たく硬く、透き通っている、と思っている。
    空気が硬い、というのは奇妙な表現だが、ケープで受けた風が他のエリアより硬質に感じるのだ。
    新鮮な空気を大きく吸い込むと肺の奥まで冷たさが行き渡って、飛び続けて火照った身体に心地よい。
    僕は一度強く羽ばたくと、速度を落とさず回転する天球儀の隙間をすり抜けた。
    遠くから見るとゆっくり動いているように見えるオブジェだが、近づくと予想より早い速度で回転していることに気づく。
    輪の回転のタイミングを計り、上昇気流に気を付けないと天球儀に当たってしまう。
    城壁の上に着地して振り返ると、ちょうど雪白(ゆきしろ)が天球儀をすり抜けるところだった。
    動きがちょっとぎこちないけれど、うまくすり抜けて僕の隣に舞い降りる。
    「やった」
    歯を見せて笑う彼に、僕も笑顔を返す。
    出会ったばかりの時はあまり感情を表に出さず控えめだったが、この頃は素直に喜怒哀楽を表現してくれる。
    上手に飛びたいと口癖のように言っていてアドバイスも真剣に聞いてくれるので、僕はいい気になって色々教えていた。
    今まで弟子が居たことはないけれど、もしも居たとしたらこんな感じなのかな。
    危ないことや難しいことも手を出さないように見守って、失敗することも大事だって思うから何か言いたくてもぐっと我慢する。
    本当はもっと甘やかして何でもやってあげたくなるけど、それは彼のためにならないよね。
    雪白は僕のところを尊敬してくれているみたいだけど、僕は彼よりちょっと長く生きているだけ。慕ってくれてすごく嬉しいけれど、僕はちゃんと彼の期待に応えられるのかなっていつも心配になるよ。





    天球儀のエリアを過ぎると、そこは空レースのスタート地点。
    祭壇の両脇は装飾が施された鉄格子がはまっていて、僕たちはそこでレースが始まるのを待っていた
    同じように待っているグループが一組いるが、聞こえてくる会話は穏やかではない。
    どうやら師匠と弟子の関係のようだが、初心者の星の子にハートを強要しているみたいだ。
    僕はちらりと雪白を横目で見た。予想通り険しい表情で目の前の鉄格子を見ている。僕の視線に気づいたので、僕は小さく首を横に振った。師匠と弟子の関係に部外者が口を出さないのは暗黙のルールだ。
    なんとか収まってくれればいいのにと重苦しい気持ちで願いながら鉄格子を見つめることしかできない。
    一方的に初心者の子が責められているようだし、色々な仕組みもまだ知らない子かもしれない、僕はこれ以上酷くなるようなら、声をかけてみようかと思い始めていた。
    「キャリーしてやってるんだから毎日送れって言ったじゃねぇか!」
    「っ!」
    ひときわ大きな怒声のあと星の子が突き飛ばされ、雪白にぶつかってきた
    足がもつれて転びそうなその子の腕を雪白が掴み、支えてやる。
    「さすがにやり過ぎじゃないか」
    雪白の声は静かだったが明らかに怒りがこもっていた。
    こういうとき黙っていられないよね。僕はだんだん彼の行動が読めるようになってきている。
    突然大きい声を出して怒ったり、相手を頭ごなしにやりこめたりしないところが若いのにえらいなって思うんだよね。
    僕が吞気(のんき)に雪白のことを考えていると、師匠の男が大股で近寄ってきた。
    僕は雪白を庇(かば)えるように一歩前に出る。
    「うるせぇな。関係ねぇだろ」
    「羽ばたく季節」の星座盤をコンプリートしているのだろう、水色と白の衣服を着て、威圧的にこちらを睨んでいる。
    「こっちは労力も時間も使ってキャリーしてやってんだよ。当然だろうがよ」
    「いつもはちゃんと送ってるじゃない!でも、いまは再訪前で貯めたいときなんだよ!」
    突き飛ばされた子も、支えていた雪白の手を跳ねのける勢いで負けじと言い返す。お、いいね。やられっぱなしじゃないんだ。
    師匠の男は、はぁと大きなため息をつくと、もういいわと吐き捨てるように言う。
    「もうキャリーしねぇし。勝手にどっかで散ってれば?」
    「ひどい。ちゃんと今まで送ってたし、キャリー中だって率先して扉開けたり協力したじゃん!そんなに言うなら、このおにーさんにキャリーしてもらってレース出るからいいよ!!」
    がば、と初心者さんは雪白の腕に抱きつき、男にべぇっと舌を出した。
    予想外の展開に雪白は目を白黒させている。
    「そちらの揉め事に巻き込まないでもらえる? 師匠と弟子のあいだのことは、当事者で話し合ってね」
    僕は馴れ馴れしい初心者さんにちょっとむっとして、雪白の腕から引きはがした。
    「だって全然話し通じないし、アイツ嫌だ! ねぇ、レースで負けたくないよ。お願い!キャリーして!!」
    「人の翼で勝負しないで、自分の翼で勝負しようね」
    僕はその子を師匠のほうへ押しやり、雪白を自分の背後に隠す。これ以上の問答はしたくないし無用なトラブルは御免だ。
    早くレース始まらないかな。
    「まぁ勝負したところでそんな貧弱な奴じゃ、俺には勝てないだろうな」
    男は腕組みしながら嫌な笑いを浮かべて雪白を嘲笑った。
    ちょ・・・っと聞き捨てならないけど、挑発にのっちゃだめだよね。
    そう頭の片隅では分かっているのに、すぅっと肚(はら)のなかに冷たいものが満ちていく。
    喧嘩売ってるね。
    「・・・へえ。なかなかな慧眼をお持ちで」
    僕はちらりと流し目を送って皮肉を言ってやる。
    師匠を務めるくらいの実力者なら、相手の立ち姿でだいたいのレベルが分かるものだろう。
    雪白は体幹もしっかりしているし、走りこんで足腰も強い。決して貧弱ではない。
    「おっとケープレベル下の奴に可哀そうだったかな。 そっちの長髪のお前が出てもいいんだぜ?」
    無遠慮に僕を指さす彼は飛行にかなり自信があるようだ。
    確かに男は相当飛んでいる。
    恰幅(かっぷく)のいい体つきで、ケープレベルは11。身に着けているものも無駄がない。
    「紺碧さん、俺が飛びま・・・」
    はい、雪白くん、お口チャック。 
    挑発にのったら相手の思うつぼだよ。
    僕は神速の速さで雪白の口を手でふさぐ。
    しかし男はちゃんと聞き取っていて、いいねぇ!と大声で笑った。
    「どのみちもうすぐレースが始まる。 長髪が飛ばないなら、そっちのチビに相手してもらうからな」
    つ ぶ し て や る
    声を出さず、男の唇がそう動いた。
    雪白に手を出されるのは到底許せない。
    僕は体内のエナジーを意識しながら、静かに息を吐いた。
    「僕が飛ぶよ」
    熱くなるな。 冷静に。
    「しかもハンデあげる。 そこの子連れて飛ぶよ」
    初心者さんを示し言うと、男の片眉が跳ね上がった。
    「はぁ?2人のほうがエナジーの補給早いだろうが。そっちが有利なのに何がハンデだよ」
    「その子からエナジーは一切もらわない。 それに初めて飛ぶ相手とは相性分からないし、初心者の子にレースで僕のエナジー流したら回路壊れちゃうよ」
    回路が壊れると聞いて、初心者さんはぎょっとしたようだ。やっぱり大切なこと教えてもらってないんだね。
    未熟な星の子に大量のエナジーを一気に流すと、回路がやられてしまうことがあるので注意だ。
    レースみたいな過酷な状況だと、雪白と組んだ場合でも初心者さんの回路が耐えられないかもしれない。
    「どう? ヤるでしょ?」
    今度は僕がにこりと挑発的な笑みを作る。 サービスでウィンクもしちゃおうかな?
    「紺碧さん」
    小声で言って雪白が心配そうに僕のケープをぐいぐい引っ張ってくる。
    大丈夫だよ。 ちょっとかっこつけさせて。
    相手とはケープレベルが一緒。飛行技術とエナジー精製・管理が勝負の分かれ目だ。
    「雪白くんは距離をとって後からついてきてね。 心配しなくて大丈夫だよ」
    不安げな大きな瞳がかわいいなぁ。
    僕はおどけて彼の頬に不意打ちでキスをする。
    「これで勝てる」
    そう笑ってみせると、雪白は真っ赤になり頬を押さえて数歩後ずさった。
    面白くなさそうなのは完全に蚊帳の外の師匠の男だ。
    目の前でイチャつかれて、おまけに自分の弟子は僕の背中。
    どうだ、うらやましいだろ。
    うらやましかったら弟子は大切にしろ。
    喧嘩売ってきたのはそっちだからな。
    さぁ気持ちを切り替えて、勝てるルートを思い描け。
    何度も飛んできたレースだ。
    今は行方の分からない友人とも、何度も勝負してきた道だ。
    とてつもなく速い彼の背を追って飛んだ道だ。
    歓声がひときわ大きくなり、いま、鉄格子が開いた。 




    白い床を蹴って同時に空へ飛び出す。
    4つあるうちの右から2番目の加速ゲートを目指す。相手も同じようですぐ隣に気配を感じる。
    ここで譲るつもりはない、身体をすこし斜めに倒し僕は男と同時にゲートをすり抜けた。
    いくどか羽ばたき今度は右側の加速ゲートへ。雲のトンネルをくぐる。
    雲の壁をケープの先が切り裂く。回復しながら羽ばたき加速。
    流れ込んできたエナジーを胸の核でさらに精製、純度の高いものへと変換する。
    トンネルを抜けると建物や倒れた柱など障害物が現れてくる。
    雲の表面、障害物の表面、微妙な空気の流れも読みながら、壁ぎりぎり、時に身体の表面を障害物にこするほど接近し最短距離を目指す。
    背中で小さく悲鳴が聞こえるが、ごめんね、もう少し我慢してね。
    男の気配が引き離せない。
    じりじりと圧力を感じる。
    大きな門の下をくぐるため落下速度より速く急降下。
    そのとき一層男の気配が近づいたと思うと、背中を強く引っ張られるような重みを感じた。
    男が弟子の足を掴み、僕の背中から引きはがしたのだ。
    そして信じられないことに、その子を雲の中へ放り投げる。
    悲鳴が尾を引いて雲の中へと消えた。
    急降下していた僕はすぐには助けには行けない。
    隣に並んだ男を凝視すると、男は驚いている僕を見て楽しそうに歪んだ笑いを浮かべていた。
    最低なやつだな。
    「先行ってください!」
    遠く背後から雪白の声。ナイスタイミング、初心者さんは頼んだよ。
    そして前言撤回だ。冷静になんていられない。
    つ ぶ し て や る
    今度は僕の唇が、声を出さずそう動いた。
    細心の注意をはらいながら建物を回避し、最少のエナジーで最大の加速を。
    胸が煮えたぎるように熱いが、頭の芯は冴え、身体の感覚は研ぎ澄まされて全身で風の流れを感じる。
    僕と男は胸の核を輝かせながら、2つの流星のように柱の間をすり抜けていく。
    背中からあの子が居なくなった空間の分、よりぎりぎりを攻められる。
    隣からの空気の塊を感じたと思った瞬間、体当たりされた。
    2人の間に文字通り火花が散る。
    危うく柱にぶつかりそうになり、身体をしならせなんとか回避したが減速してしまった。
    体格は向こうのほうが上だ。
    僕は右の手のひらを上にむけ、指先を軽く曲げて 来い と挑発する。
    細かな岩がたくさん浮かんだ空間に誘いこむ。
    ここには雲がないから回復できない。
    今あるエナジーをいかに温存しつつ飛ぶかが重要だ。
    岩を避け、ときに相手に体当たりされ、眩暈(めまい)がするほどの方向転換を繰り返す。
    「やり返してこい!」
    男は吠えるが、僕は鳥のように飛ぶだけだ。
    体格で劣る僕がなにもしてこないことに安心したのか、さらに距離をつめてくる。
    いいぞ、来い。
    僕は岩すれすれを飛び、体当たりしてきた男と接触する直前に下へ落ちるように体の力を抜く。
    スローモーションのように僕の眼前を男の身体が通り過ぎ、男は岩に激突した。
    肺が押しつぶされ、苦しそうなうめき声が頭の上で聞こえる。
    男はそのまま岩の上で動かなくなった。
    勝負あり、かな。
    「・・・よし」
    僕は汗で額にはりついた髪を後ろへ払って、風ではためくケープをさばくと小さくガッツポーズした。





    少し遅れて、雪白と初心者さんが到着する。
    「勝負ありってことで」
    息を整えながら僕は言った。
    岩の上で気絶している男を見て、初心者さんはさすがに言葉が出てこない。
    言っておくけど、僕は乱暴していないからね。
    もともと星の子は頑丈だし、あの体格だ、しばらくしたら気が付くんじゃないかな。
    あ、ほら、もう起き上がってきた。タフだねぇ。嫌だねぇ。
    「・・・負けた」
    焦点の定まらない目で男が呟く。
    おや、もっとゴネるかと思ったけど、自分の負けを認めたね。
    雪白はそっと初心者さんを背から降ろそうとするが、その子はしがみついたまま離れない。
    「怖かったのか?」
    下は雲だったとはいえ、師匠だと思っていた人に投げ捨てられたんだ、無理もない。
    赤ん坊にするように体を揺すり、心配そうに肩越しに雪白がのぞきこむ。
    「わたし、この人がいい」
    泣いているのかと思ったが、予想外にもその子の声はしっかりしていた。
    「わたしこの人の弟子になりたい」
    この人、というのは雪白のことだ。
    「な、なんで・・・」
    雪白は戸惑っているが、もしかしたら僕のほうが狼狽(うろた)えているかも。
    雪白の首にしっかりと腕を回して、その子は離れないという決心を全身で見せる。
    「雲のなかから助けてくれた時も、そのあと一緒に飛ぶ時も、すっごく優しかった!」
    アイツとは違う!アイツとは違う!
    男を指さして2回言う。
    容赦なくトドメ刺すね・・・。
    本当に君は初心者で弟子だったのかな?
    男はシクシク泣くエモートからの、床に寝転がって泣き喚くエモートをしている。
    体格のいい大の男がジタバタ泣いている姿なんて見たくないよ。
    汗のひかない僕は上衣の合わせ目を少し開いて、服をぱたぱたとあおりながら視線を逸らした。
    「そ、れ、に、あなたすっごい好みなの!耳飾りもいつかの究極でしょ?かっこいいのー!」
    「降りてくれ」
    先ほどまでの戸惑った様子はなく、きっぱりと雪白は言って初心者さんを背から降ろした。
    優しそうな彼がここまで強く断ると思っていなかったのか、え、と言ってその子は固まる。
    「俺はまだ修行中で弟子をとれるような実力じゃない。 それに」
    そこで言葉を切って、僕を見る。
    「君をおぶってレースに出てくれた彼にまずはお礼を言うべきだ」
    初心者さんははっとした顔で、僕の顔を見た。
    「君の師匠は彼に体当たりしたり、危ない飛び方もしていただろう」
    声にはかすかに怒気もはらんでいて、雪白が怒っているのが伝わってくる。
    ありがとう、怒ってくれて。
    「・・・すみませんでした・・・師匠が危ないことして・・・それにレースも出てくれてありがとうございます・・・」
    神妙な面持ちで頭をさげるその子に、僕はいいよ、と軽く手を振る。
    「お師匠さん、飛行技術は間違いなくすごいと思うよ」
    飛行技術は、に軽く力を込めて言う。 僕性格悪い?
    でも雪白を嘲笑ったのは忘れないからね。
    「・・・お前もすげーよ」
    岩の上で寝転んでいる男がボソっと言う。
    「それはどーも」
    ふーんだ。でもありがとね。
    「そこのチビも、これから伸びるんじゃね?」
    チビ、とは雪白のことのようだ。
    「チビじゃない。一言多いよ。 それに彼は当然、伸びるよ」
    僕は当たり前のように言って、彼の手を握った。
    枯渇していたエナジーが補給されていく。
    体内の回路が疲れているのが分かる。
    久しぶりに酷使したからね。
    雪白も僕の手を握り返してくれる。
    「ええ!師匠!わたしも褒めてください!」
    「ええい、大きい声出すな!頭に響く!!大体おめぇはキャリー中すぐに寝るしよ!」
    師匠が他の人を褒めたことに嫉妬したのか、甲高い声で言う初心者さんに、男も元気に言い返す。
    どつきあうような喧嘩もしていたが、これでも2人はうまくやっているんじゃないかな。
    そうしたら僕は何のために飛んだのか。
    はぁ、とため息をつくと真っ白な息は強風で流されすぐに消えていった。
    僕は苦笑しながら、帰ろう、と言い雪白の手を引いた。
    たまにはこんなギリギリの状況を飛ばないと、感覚が鈍るかもしれないなぁ、とふと思っていると。
    「・・・格好良かったですよ」
    雪白が僕から視線を外し、どこか違う所を見ながら小さな声で言った。
    褒めてもらえるなんて、頑張ったご褒美だ。
    「ふふ、期待に応えることができてホッとしているよ」
    これは本当に心から思ったことで、雪白の前で情けない姿を晒さずに済んで安心している。
    「もっと褒めてくれていいんだよ?どこが格好良かったのか、作文書いてくれてもいいんだよ?!」
    「もう!褒めるとすぐにこうなるんですから!」
    「特に僕が雪白くんのほっぺにチューしたとことか、格好良すぎでしょ?」
    「今ので全部台無しですよ」
    「」
    さ、最近ツッコミが鋭さを増したよね。
    でもいいや、前髪で隠れた頬が赤いのは、夕日のせいじゃないよね。
    赤い光が映りこんだ目が綺麗だなぁ。
    僕たちは手を繋ぎ、雪と氷に覆われた円形劇場・・・レースのゴール地点へとたどり着いた。

    (完)
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