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    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)を中心として、登場人物の心情と空を飛ぶ描写に力を入れて書いています。
    年齢不詳の雀たちや、2人が惹かれあっていくところも書いていきますよー!!
    BL苦手な人は退避ッ!!
    顔あり、白肌、衣装や設定など変更してあるので苦手な人は退避ッ!

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    咲良(さくら)

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    雪白の名前は、紅藤が名付けました。

    ##本編
    ##星くず書庫

    ゆきしろ 2「ちちょー、おままえつけれくれさい」

    まん丸な黄色い目をした星の子が、俺のケープの端を引っ張る。
    頼りなく細い身体に、初期のケープ。
    俺の弟子だが、名前は、ない。
    星の子は地上に降る時、自分の名前を抱いて生まれてくる。
    しかし彼は生まれたてのところを闇に襲われ、そのショックで名前を忘れてしまっていた。

    「名前なぁ...」

    他の子に名前がある事に気づいてから、たびたび名前をつけてくれとせがまれているが、良い名前が浮かばずそのままになっていた。

    雪に覆われた狭谷の尖塔の上からは、見事な夕日が雲海を朱色と金色に染めている。
    身を切るような寒風、生命を寄せ付けない厚い氷と雪。厳しい環境のなかで頼りになるのはどこまでも己のみ。
    この過酷な、しかし雄大な景色が紅藤は好きだった。
    強い風によろけそうになる身体を、足を踏ん張って支えている弟子を見下ろし、紅藤はぽつりと言った。

    「雪白(ゆきしろ)」
    「ゆき?」
    「雪白。お前の名前だ」
    「ゆきしろ!俺のおままえ」 

    意味も、どういう字を書くのかも分からないはずだが、それでも名前が決まったことが嬉しいようで、雪白はにこにこと頷いた。

    「雪は白くて冷たい、空から降ってくるやつだな。白は、色の白」

    紅藤は座り込んで、雪白と目線を合わせた。
    遊んでもらえるのかと思ったのか、嬉々としてその膝に乗り、雪白は紅藤の首にしがみつく。
    ちっせぇな。

    「...てめぇは弱っちそうだからなぁ。いいか、簡単に染まるんじゃねぇぞ。雪みたいに白く、清く、周りを覆うくらいの気持ちでいろ。冷たいが...解ければ、雪解け水は周りを潤す恵みになる」

    今は難しくて分かんねぇかな。
    そのうち意味も分かる様になるだろう。

    「俺、弱っちくない。ちちょーがくんれんするって言ってた」

    弱くないと言いながらも、しがみつきながらケープの下で暖をとる雪白に、紅藤は思わず吹き出した。

    「は!甘えながらなに言ってやがんだよ。まぁ、鍛えてやるから、逃げ出すんじゃねえぞ」
    「俺にげない」
    「その言葉忘れんなよ。よし、行くぞ」

    長旅で必要な大きな荷物と愛用の花火杖を背に、雪白を胸に抱いて、紅藤は軽々と立ち上がった。
    助走をつける。
    硬いブーツの底が、城壁の石を強く蹴りつける。
    風をつかまえて、舞い上がる。
    羽ばたくケープから火花が舞い踊る。
    雪白が歓声をあげた。
    こいつにはまだまだ教えないといけない事がたくさんある。
    雨のなかの飛び方、汚染された水、蝕む闇、捕食者からの逃げ方、原罪...。

    耳元で轟音を上げる風が、全身を包む。
    いい風だ。
    風はそのまま、明日へ向かう。
    向かい風がないと飛べないんだぞ。

    雪白、お前は、この厳しくも美しい世界を、生き抜いていけ。


    (完)
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    咲良(さくら)

    DONE璃兎(りと)→大樹マシュ。
    青紫の目。身長5くらい? 
    雨寧さん宅のジェイスさんとお付き合いしている。
    ジェイスさんは軍人。
    璃兎は学生。普段は寮に住んでいる。
    自由奔放、男の子だけどガールズトーク、スキンシップ大好き、テンション高め、生足むき出しのあざといショタ。

    雪白→創作の髪型。
    黄色の目。
    身長6くらい?
    真面目な好青年。
    雨林で紺碧に助けられ、共に暮らしている。
    雪白と璃兎璃兎(りと)が珍しくツリーハウスへ遊びに来た。
    彼は闇の穢れを祓い、傷ついた兵士を癒す「癒し手」になるため学校へ通っている。
    (雨寧さん世界の設定)
    普段は宿舎で生活しているのだが、今日は外出が許可された日らしい。


    ツリーハウス2階にある雪白の部屋で、他愛のない話しで盛り上がり、璃兎の恋人、ジェイスの話題になった。
    軍人の彼は、相変わらず多忙を極めているようで、一緒にいられる休日はとても貴重なのだという。
    璃兎は素直にのろけるし、素直に彼が大好きだと表現する。


    雪白は、璃兎がどれだけジェイスを慕っているかを感じるたび、胸の深いところが疼(うず)く様な感覚を感じていた。
    誰かを慕う気持ちが、痛いほど分かる。
    それは師匠を思う気持ちとはまた別の、熱く焦がれるような感情。
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