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    咲良(さくら)

    @yurutto_sakura
    ゲームskyを元にしたオリキャラのイラストやお話しを書いています!
    師匠を探す雪白(ゆきしろ)と、師匠の友人紺碧(こんぺき)を中心として、登場人物の心情と空を飛ぶ描写に力を入れて書いています。
    年齢不詳の雀たちや、2人が惹かれあっていくところも書いていきますよー!!
    BL苦手な人は退避ッ!!
    顔あり、白肌、衣装や設定など変更してあるので苦手な人は退避ッ!

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    咲良(さくら)

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    見事な花冠の重み、香り、貴方の姿、鮮やかに。

    鳩田白鼬さん宅のフィエーさんをお借りしました!
    大感謝です...!!

    フィエーさんの性別は女性寄りとのことで「彼女」
    と表現させて頂きました🙏🏻
    内容も注意しておりますが、わたしの解釈で書いてしまっています💦


    あいかわらずタイトルを付けるのが苦手で、良い題名がつけられません...!!

    うちよそSS フィエーさんと
    大きな雲のかたまりの中、一部だけぽっかりと空間が開き、太陽が差し込んでいる。

    一番大きな浮島を中心に、周囲には様々な大きさの島が浮かんでいて、絶えず強い風がその周りを取り巻いていた。



    つまらないなぁ。

    何度目かのため息をついて、ひとりの星の子は冷めた口調で呟いた。

    風のなか健気に咲く花も、装飾の施された輝く高い塔も、岩壁に不規則に空いた洞窟も、どれも彼女の心を動かすものはない。

    ただ、風に揺れる風鈴の音だけは心地よく感じて、人気(ひとけ)のない場所でただただ耳を澄ませている。

    彼女の容姿でまず目をひくのは、そのたっぷりとした髪だろう。
    ゆるくウェーブのかかった白とも銀とも見える髪は腰ほどもあり、毛先は珍しい黒色。
    顔の左右で編まれた三つ編みを胸の前で束ね、頭には黄色い花と黒い葉で作った花冠を乗せている。



    風鈴の音に混じり誰かの鼻歌が聞こえてきて、彼女は思わず眉間に皺を寄せた。
    音程も、リズムも外れた鼻歌だった。

    へたくそ。。。
    どんな奴が歌ってるんだろ。

    高台から見下ろすと、すぐ足元の野原で花を摘む星の子の姿が見えた。
    どうやら花冠を作っているらしいことが分かったのでしばらく観察してみるが、見ているうちに腹が立ってきて、思わず彼女はその子に声をかけた。


    「ねぇ」
    「うわぁ?!」

    背後から声をかけられた星の子は飛び上がるほど驚いて、そして彼女の姿を見て目を丸くした。

    「うわぁ!」

    先ほどと同じ台詞だが、ニュアンスが全く違う。

    「せ、精霊さま・・・?」

    丸くした目には憧れと、恥じらいと、驚きと、様々な感情が見て取れる。

    「違うよ。ていうか、人を指さすんじゃないの」

    指をさして固まっている星の子にぴしゃりと言って、彼女はふん、と胸をそらした。

    「あ、ごめんなさい。すごく綺麗な髪とケープだったから、精霊様かと思ったよ」

    意外にも素直に謝って、慌てて指さしをやめると、その子は恥ずかしそうに笑う。
    敬語も使えないのか、と思ったが、全く悪気のない様子だったので許すことにした。

    星の子は黄色いケープに「自信に満ちた観光客」の髪型。手足は細く、平均よりだいぶ小柄なようで、だぶだぶの上衣の袖を折って着ていた。

    「花冠、下手すぎ」

    彼女がすらりと指さす先には、星の子が握りしめた花冠。
    花はまばらで今にも抜け落ちそうだし、太さもまちまちでお世辞にも上手とは言えない。
    彼女が自分から誰かに声をかけることはあまりないが、花冠が関係するならば話は別だ。

    「だって・・・作り方わからないんだもん・・・」
    「じゃあこれ見て覚えて」

    どこに持っていたのだろう、差し出されたのは見事な花冠。
    黄色い花は摘みたてのように瑞々しく、珍しい黒い葉はどこのエリアで取れるものだろうか、綺麗な円を描き、受け取ると重みを感じるほど、たっぷりと草花が使われている。

    「いい香り...」

    香りを吸い込んで、星の子はうっとりと冠を見つめた。

    「もらっていいんですか?」
    「ちゃんと覚えるならね」

    「あなたのお名前は?」
    「名前知りたい?じゃあ早く名乗って」
    「黄乃(きの)!」

    元気に手をあげて名乗る黄乃に、少し驚く。
    大概の人は「先に名乗れ」と言われれば少しはひるむものなのに。
    面白くない。

    「・・・フィエー・・・」

    仕方なく名乗ると、黄乃は嬉しそうに首をかしげてよろしくね、と言った。


    よろしくするつもりはないの。
    花冠を上手く作れるようになったら、話しは別かも、ね...?


    それから黄乃がどんなに探しても、フィエーは見つかることがなかった。
    あの一瞬の邂逅は、奇跡のような出会いだったのだろう。

    黄乃は、フレンド申請しなかったことを悔やんだが、しなくて良かったかもしれない、とも思っている。
    たぶん申請しても受け取ってもらえなかっただろう、しかしそれは問題ではなく。
    もう二度と会えないだろうという予感は、彼女と言葉を交わしたあの短い時間を、より神秘的で、忘れられないものにしているからだ。



    黄乃はなかなか上達しない花冠を手に、苦笑いした。
    咲き乱れる花々に囲まれて、今日も下手な鼻歌を歌いながら、精霊様と見間違えたあの姿を鮮やかに思い出している。


    (完)


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