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    MEMO祖母の遺品整理の夢
    祖母の遺品整理の夢 祖母が亡くなった。
     平均寿命は超えていたし、大病を患ったわけでもないので老衰や大往生という表現が合いそうな最期だった。
     今日は、祖母が病院に搬送される直前まで一人で暮らしていた市営住宅の団地に来ている。遺品整理がほとんど終わり、部屋には三人掛けの長いソファだけが残されていた。明日の朝に、このソファを廃品回収に引き渡し、それから家の床や壁の傷み具合を確認しに管理会社のひとが来るので、それに立ち会えば、この家は解約できる。場所が離れていて、早起きしても始発では間に合わないので、前日に来て一晩この家のソファで夜を明かそうという心算だった。
     カーテンも絨毯もない、ソファだけになった祖母の家は寂しかった。WiFiもないし、誰かに電話をする気にもなれない。財布とスマホしか持ってきていないので、やることもなく、ボロボロの三人掛けソファに横になった。錆びたスプリングの軋む音と共に祖母が作ってくれた筑前煮のことを思い出したのは、そういう匂いがソファに染み付いているせいかもしれない。寒いというほど寒くもないが、こころもとなさから、毛布のひとつも持ってくればよかったと後悔しながら目を閉じた。
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