きみの雨 自然と視線が吸い寄せられた。健康的な証と言わんばかりに上下する喉仏。
代謝が良いこの男は、えぐいほどに汗をかく。そりゃあもう、雨かと思うくらいに。
初めてそういう関係になり、まあ、なんやかんやで、びしゃびしゃと想定以上の汗を降らされ、驚いたのはもう随分前のこと。
健康的な男だな、と何もかも自分とは違うこの男のことを思う。
汗としてばしゃばしゃ水分を飛ばしているからか、良くこの男は飲む。たとえば、私が常に用意している麦茶だったり、原稿の合間のコーヒーだったり。
そして、枕元に用意してあるミネラルウォーターだったり、だ。
「……飲むか?」
こちらの視線に気付いての問いかけに首を横に振る。
「あとで牛乳をいただくよ」
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