ねこ弟子たちが集まっていた。
「なにをしている!」
「宗主!」
その声に少年たちは顔色を変えこちらを振り返る。その中で一番幼い弟子がなにかを隠すように抱え込んでいた。が、うごうごと小さな腕から這い出てくる。
「あっ、だめだよ!」
地面に降りたのは黒い猫だった。
なるほど、彼らはこいつと遊んでいたのか。
子供たちは怒れることを怖れてびくびくとしているのに対して、猫はじっとまん丸の瞳でこちらを見つめたまま逃げない。
「たっぷりとさぼったんだ、さっさと戻って鍛練を続けろ」
そう叱られた弟子たちは一目散に修練場に行った。その様子にため息をつき黒猫を一瞥すると俺も執務を片付けるべくそこから離れた。
それから黒猫は蓮花塢で姿を見るようになった。度々弟子たちに撫で回されたりたまに埠頭で商人たちから餌を貰ったりして過ごしているようだ。
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