凛と一緒(10) 潔は思った。
嘘だろ。まさか、こんなことが起きるって、あり得るか?
目の前の人物を前にして、衝撃が抜けきれないでいると、固まった潔の反応に目元が険しくなった。
「あ?じろじろ見てんじゃねえよ」
凛ならこの後に殺すぞが接続される。そんな思考に飛んだのは、潔と対面している人物が、凛に思いっきり似ていたから…というよりも、凛の家族だからだ。
糸師冴――――その人物が、潔の目の前にいた。
遡ること十五分前。休日の昼前、潔は外出着で家から出るところだった。
「世っちゃん、凛くんのところに行くの?」
「うん。今から凛と遊ぶ」
「じゃあ、今日の夕飯は凛くん呼んでね。お鍋の予定だから」
わかった~いってきま~す。スニーカーを履いて家を出た潔は、凛の寮に向かった。今日は凛の家でホラーゲームをやる予定だった。ホラーは苦手だけれど、凛の為に凛の趣味に付き合っている。今日やるゲームは怖くないと信じたい。
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