なんば~つ~とばさらの表彰式前夜「で、何だってんだ?」
パイプ椅子に深く腰掛けた彼が気怠そうに目線だけを寄越して言った。
いつもならばもう少し覇気がある彼にも流石に陰りが見える。
今日の為にマシンはもちろん彼自身のコンディションも調整してきたのだ。それを終えた今、一気に緊張の糸が切れたのだろう。疲れも当然だ。
「いや、特にどうということでもないんだが……」
ゆっくりと休ませてやりたいところを、博士の余計な一言のせいでこんなところまで引っ張り出してきてしまった。
それも元々は自分がそれこそ余計な一言を博士に零してしまったのが原因だ。後ろめたさが、すり切れた爪先を眺めさせた。
「疲れてんのか? まぁ、お前もここのところ詰めっぱなしだったからな」
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