こんな日には あの夜の青い瞳が忘れられない、フードで顔はよく見えなかったが、俺を一虎から庇って怪我を負ったあの少年は不思議であった。怪我したのにも関わらず、無言で去っていったのだ。追いかけようとしたが場地や一虎のことがあった為やむ無く断念。命の恩人に礼も言えなかった。
時は過ぎて、東京卍會から追放者が出たと聞いた。なんでも女に手をあげたとか、一般人からカツアゲしたとかダセエ事を続けてクビになったとか。人数が増えると統括も大変だなぁと、他人事のように夜中の公園でタバコをふかしながらぼーっとしていると、微かだが声が聞こえてきた。
「ーーーッッ……だ……たす……て」
「……なんの声だ?」
声の方へ近づこうと、耳を澄まして移動する。公園の茂みから聞こえてきている気がして、携帯の灯を頼りに進めば、そこには黒の東卍特服の大人数に囲まれている何かの姿があった。
「ー!!!!」
「大人しくした方が身のためだぜ」
「う゛ー!」
「うるせえ!」
ガッ
足蹴にされても暴れるその少年は、大多数に囲まれても反抗していた。
「オマエらそこでなにしてんの?」
「やべっ、逃げろ!!!」
「オイ!!!」
蜘蛛の子散らす様に去っていく奴らを追いかけようとしたが、リンチされてたやつが気になり目を向ける。そこには青い瞳を濡らして、殴られたのか口の端から血が出ていて、頬が腫れている少年がいた。
間違いない。あの時の、青い瞳。
俺が来たことに安堵したのか、少年はそのまま気絶した。
病院に連れて行くにしては時間が遅すぎる。俺は少年を抱え仕事場へ向かった。