朝の支度「……ん……ふわぁぁ……」
隣で眠っていたムルソーが支度を始めた気配で目を覚ましたグレゴールは、起き上がってぐっと体を伸ばした。
ベッドの側に備えてあるタンスから眼鏡を取って付けて、それでもぼやけている視界でふらふらと足先を動かしてスリッパを履いて立ち上がった。
ムルソーと共に朝を迎えるようになってからもう3ヶ月が経つ。
とは言っても、恋人と言う程甘い関係ではなく、ただお互いのメンタルケアやストレス発散を兼ねて晩酌を共にしたり、時々体を重ねるような関係なのだが。
ムルソーは朝起きる時に寝ているグレゴールに対して一切遠慮をしなかった。
静かではあるが物音を立てないようにだとか起こさないようにだとかは一切考えていないような気がする。
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