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    たなかんぼ

    @tanny_unt
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    たなかんぼ

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    モブぼくとクリックガードとテメノスきゅん

    ・モブ視点
    ・クリテメ要素【薄】

    モブぼく☆ドリンクファイト「いらっしゃいませ、1名様ですか」
    「当店をご利用されたことは…ありますね」
    「さ、迷える羊よ…こちらへ」

    ぼくが何度も利用しているコンセプトカフェ・たこたびつー。店員【キャスト】はそれぞれ職業【ジョブ】の格好で接客をしてくれる。コンセプトカフェなので口調も当然、職業【ジョブ】に適した口調だ。ぼくを案内するのは神官ジョブの華奢で美人なテメノス・ミストラル審問官。男性キャストなんだけど、他のキャストとの絡みや会話の小気味良さがクセになりここしばらく通いつめている。人気が高く、年齢は30歳。おそらく設定で、どう見てもそんな歳には見えない。肌は白くてキメ細やかで、神官服から覗く手首は細い。美青年という言葉はきっとこの人のためにある。





    足繁く通うのには理由があって、今日もチェキのチャレンジをしようと思っていた。この人の写真嫌いは界隈では有名で、月に一度しかチェキ会が開かれない。この日を逃すとまた次の月まで待たなければならないのだ。チェキ会に入場することすら事前予約が必要で、ファン同士の血で血を洗う勢いは加速するばかり。ようやく手にしたチェキのチャレンジ券を手に店に来たのだが、見慣れぬ店員が増えていた。ふむふむ、ついこの間の写真がバズった影響で一躍人気店となり、カフェの人員が足りずに臨時社員が出向してきたらしい。名をクリック・ウェルズリー、聖堂騎士という特別ジョブの服装で店内を巡回していた。キャストに手を触れそうな人やトラブルになりそうな席がないか見張る役らしい。…ふん、目障りなやつだ。しかもあいつ、ずっとテメノスきゅんと喋ってる。クソックソッ!ぼくだってあと30kg痩せれば面接に受かったはずなのに。

    そこからは壮絶なドリンクファイト。しかし、あえなく全て聖堂騎士クリックのチェキ券へと変わり果てた。悔しくて悔しくて会計伝票を運んでくれたテメノスきゅんに詰め寄る。ぼくと、ぼくとチェキしてほしい!どうしてぼくとは撮ってくれないんだ!…支離滅裂だ。手を強く握りすぎたのか苦痛に歪むテメノスきゅんの顔。ああ、すごくいいな。

    そのとき、横から聖堂騎士が現れやがった。素早い動作であっという間にぼくを無力化する。じたばたと手足を動かそうにも全く動けなかった。

    『テメノスさんは、僕がお守りします』

    会場からは拍手が湧き起こった。情けない。死にたい。でもまあ、テメノスきゅんがなんか嬉しそうだったからいいかな。この後警察が来てめちゃくちゃ絞られた。ぼくには脅迫や傷害かなんかの前科がついたけど、きみが幸せならなんでもいいや。またこようっと。






    ここからはぼくの妄想~

    何十杯目かのドリンクでようやくその権利を得た。閉店間際で店内も閑散としている。椅子から立ち上がりフラフラと券を握りしめ、チェキ用ボードの前に立つ。気づいたテメノスきゅんがこっちに来てくれ、手から直接券をむしり取って渋い顔で見つめてくれる。お決まりのセリフ『審問の時間ですよ』を聞いて、チェキボードの前でポーズをキメた。


    END
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