異端審問官の誘惑【誘惑に負けない!子羊くんシリーズ①】
壁に手をつき尻をぐいと突き出して、内腿をそぞろ撫でる仕草で微笑み『"ここ"、使いますか?』と誘惑してくる、幼顔の審問官。
連日の任務で疎かにしていた夜を思えば誘惑に乗るのは容易い。しかし、そんなふうに汚していい人ではない。大事に…大事にしたい。
『やめてください』
自分事ながら浅ましい下半身にぴしゃりと鞭を打つ。すると彼は面白くないといった表情で、口を尖らせる。その表情すら愛おしくて、全くおさまる様子のない己に呆れ果てた。
【誘惑に負けない!子羊くんシリーズ②】
たまには霊験あらたかな場所で禊を行いたいと言い、泉は危険な場所にあるからと護衛を強請られた時に気づけば良かったのだ。『ふたりきりですね』なんて囁く唇が、泉の成分のせいなのかやけに艶めいて見えた。
薄布のみで覆われた白い肌が透けている。禊用の衣類はやたら薄く、滝から流れ落ちる水が小さな背中をちょろちょろと伝っていくところまで丸見えだ。
やがて禊を終えると、泉に腰まで浸かっていた体を陸へと移動させた。『子羊くん、身体を拭きたいのですが…』と言いかけた彼の視線が、自分の下半身に向いた事に気づいた。『おやおや』なんてわざとらしい。
陸から上がった彼の、不意に見てしまった…それ。
しばらく頭から離れなそうだった。
【誘惑に負けない!子羊くんシリーズ③】
宿のベッドがひとつしかない。今夜はいよいよか、と覚悟を決めるも昼間の戦闘疲れか早々に寝入ってしまった彼の寝顔を見つめる。
『期待してるんですか?しょうがないですねえ』と言って寝台の上に色気もへったくれもない寝巻きで転がっていたのはついさっきの事。少し目を離した隙にもう寝息が聞こえて、すっかり肩透かしを食らってしまった。
『(この人、僕が手を出さないってわかってるからこんなに無防備なんだろうな…)』
無意識に、射す月光に透けた銀髪へ手が伸びる。一度梳いてしまえばその柔らかさに触れていたくて、自分でも驚くぐらいに優しい手つきで梳いていた。
……この人の寝言に驚くまで。