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    たなかんぼ

    @tanny_unt
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    たなかんぼ

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    クリテメオレンジデー(🐍視点)

    こひつじくんはかわいい!【バレンタイン】
    テメノスさんはかわいい!【ホワイトデー】
    の既刊二冊をお読みいただいてるとより楽しめるかもしれません。そのままでも巻き添えソローネさんが見れます。

    #クリテメ
    critémé

    はいはい、かわいいかわいい。~~とある女盗賊のぼやき~~




    恋人同士が何かを贈り合うのに理由なんか要らない。けど、まだ顔見知りや友人なら。きっかけにはなると思うんだ。

    「けどさ、流石にちょっとは周りを気にしなよ」
    この迷惑千万バカップルは、本当にあのお堅い新人騎士くんと疑り深い審問官なのか。
    「すみません、この人がどうしてもここが良いというものですから」
    「ええ、子羊くんの言う通り。私はここで君と過ごしたいんです」
    ……もちろん私だって馬に蹴られたくはないし、いつもなら付き合ってらんないんだけど。
    この二人が公衆の面前だろうとかまわず熱い抱擁と接吻をした後で近くの高級宿に消える、なんて噂をあらゆる伝手から聴いちゃったら……本人たちに伝えるくらいはした方がいいと思って。

    ふー……やめとけば良かった。
    人目も憚らず、馬鹿みたいな花束を抱えた子羊クンと一目見ただけで誰もが高級品だとわかる誂えの剣を携えた審問官……こんな白昼堂々聖火神のお膝元でプレゼント交換をしようなんて、あんたらの宗教ってそんなに寛容なの?どう見ても恋人に贈る品なんだって。

    「テメノスさん…っ これ、貴方のことを想って種から育てました。一本一本丁寧に棘も落としたんです。貴方に傷一つ付けたくなくて…あっ、本数はちゃんと数えてますよ!もう前みたいな失敗はしませんから…!」
    「素敵な花束ですね…いったいどんな意味が込められているのかな?実はね、私も君に似合いそうな剣を見つけてしまったんです。とある異端が大事に抱えていましたが、ちょっと審問したら親切に渡してくれたんです。だから、これは君に…♡」

    重い。デルスタ丼の百倍ブーストって感じ。
    何?その花、種から育てたの。難しい品種じゃん。
    剣を……審問で?神官ってなんだっけ。

    「……結婚してください、テメノスさん」
    「もちろんですよ。ずっとその言葉を待っていました」
    「ねえ、あんたら付き合って何年?」
    「「二ヶ月です」」



    ……帰ろうかな。
    式があるなら行くけど、その代わりお酒を樽いっぱいに用意しといて。


    END
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    たなかんぼ

    DONE仲間に祝福される、付き合って数年目のクリテメ
    AIUE.かなしい、つらい、くるしい。くらくてつめたい。だれもいない。だきしめてほしい。
    ……あいしてほしい。





    孤児時代、来る日も来る日も飢えと戦っていた。その名残か現在まで食は細いまま。汁菜を好み、口をつける。ひとくちは小さく、消化の速度も遅い。仲間内では比較的ゆっくりと食事を摂るほうだった。最年長のオズバルドと並び、互いにぽつりぽつりと本の内容を確認したり、時には無言で終えたりもする。

    旧友を失って、恩人を失った。その事がより一層食欲の減退に拍車をかけていたのだが、キャスティやオーシュットがやれ健康だの干し肉だのと構うものだから、観念してゆっくりながら量を摂ることに専念していた。
    皆、心配してくれているのだ。その心に報いたい。だが困ったことに胃袋はスープ一杯で満腹を訴える。我ながらほんとうに小さくて辟易するが、こうなるともうひとくちも食べたいとは思えない。口に物を運ぶのが億劫になり、喉奥からははっきりとした拒絶が聞こえる。はあぁ、と深いため息をついて器に盛られた薄切りの肉を持ち上げては置くことを繰り返している。行儀もよくないので、今日のところはギブアップを宣言しようとした時だった。
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