配信「あ、どうもどうも。視聴者の皆様。ごきげんよう、コバタンですよ…。」
予告されていた時間通りに始まった配信がノートパソコンのモニターに映っている。
配信主であるマスクをつけた黒猫、『コバタン』が少しひきつった笑みを浮かべてこちらに手を振っていた。
画面の右下にあるコメント欄が勢いよくスクロールしていく。盛り上がっているようだ。
「もう、皆様お集まりですね。それじゃあ始めようと思います」
ごそごそと画面外から取り出されたのは縦に長い長方形の箱だった。
パッケージには卑猥なイラストが描かれており一部窓になっている部分からは内部のショッキングピンクの悪趣味な性玩具がのぞいていた。
「今日はリクエストいただいでおりました□□□□から新発売のXXXX、いわゆるバイブってやつですね」
外側のフィルムをはぎながら商品の説明を始める。
「□□□□と言えばこの前レビューした...」
『今日マスク外さないの?』
しゃべりだしたあたりで現れたコメントに気づいた。
「え、いやぁ、今日は録画してますし...」
コバタンが躊躇していると続々と催促のコメントが寄せられる。
『前は外してくれたよね~』
『コバタンの顔見たいなー』
『なんで外さないの?特に問題なくない?』
『外さないとか興ざめなんだが、解散か?』
「こんなにコメントが...うぅ…まぁ、これくらいならいいか...。わたくしの顔など見ても、何も面白くはないでしょうが…」
おずおずとマスクを外す。コバタンが人気な理由の一つがこの押しの弱さにあるが本人は気づいていないようだ。
催促コメント欄が落ち着いたのを見計らってレビューを再開する。箱の上部開き、中のものを取り出す。
「うわ、趣味悪...んんっ、注文した時にも思いましたが結構大きいですね。今回はピンク色にしてみました。いやぁ、その方が皆様お好きかなと思いまして」
一瞬嫌そうな顔をしたがすぐに笑顔を張り付けた。底部を回して蓋を外して電池を入れるとレビューを再開する。
「触った感じ表面が柔らかいシリコン性で中は固い素材で出来てるな。デティールはそんなに本物に寄せた感じじゃないですが凹凸が結構ありますね」
そういいながらムニムニと玩具を触っているとまたコメントが届く。
『頬ずりしてみてほしい!』
「あ、コメント来てますね…。またマニアックな…まぁ、それくらいでしたら」
そういうと玩具の根本と先端を持つと頬に押し当ててそのまま上下に顔を動かして擦り付ける。
黒い体毛と対照的な悪趣味なピンクの玩具との対比が卑猥だ。
「これでどうでしょう?」
『やらされてる感がエロい』
『おぉ、卑猥卑猥www』
『すでに抜ける』
コメントを見るに視聴者にも好評なようだ。それに口角を上げて猫らしいギザギザの歯を剥いて笑みを深めた。
「皆様楽しんでいただけているようで」
気を良くしたのか愉快そうに言うとそのまま口を開きと口の中から左右で色の違う二枚の舌が覗く。
見せつける様に玩具の根本に舌を這わせると凹凸にそって舐めあげるとカメラの方にちらりと視線をよこす。
コメントが増えてスクロールしていく様を見て目を細めてふふっと笑うと2枚ある舌の間に幹を挟むようにして舐め上げる。括れまでたどり着くと段差の部分にぬろっと差し込むように擦りそのまま先端の窪みを尖らせた舌で抉った。
コバタンが顔をあげコメントを見る。
艶かしい所業に賞賛のコメントが多く寄せられたがその中に目立つ赤い枠付きのコメントが見えた。
スーパーチャットと呼ばれる投げ銭を一定以上額投げた時に表示されるものだ。略してスパチャと呼ばれており基本的に配信者にとっては嬉しいものだが今回は様子がおかしい。
コメント欄が『流せ流せ』や『誰だよ、暇かよ』などざわついている。
コバタンに見えなかったことを祈ったが祈りは通じなかった。
『いい歳してなにやってんのw そういうの本当に気持ち悪いよ』
「え、あ…う…ぅ」
表情が明らかな動揺が見て取れる。
大きな目が潤んで顔がゆがんだ。
「わああああぁぁん」
ついには大声を出して泣き始めてしまった。
少し前の配信でもあったのだがコバタンは誹謗中傷に非常に弱い。いつもは暗黙の了解で目に触れぬよう流しているだが如何せんスパチャは目立ちすぎる。
泣かれると可哀想な気持ちになって萎えるのもあるが、なによりエロ配信どころではなくなってしまう。配信を楽しんでいる側としては大変迷惑な話だ。
「うぅ…っひっく」
最初の勢いは無くなったがまだ膝を抱えて嗚咽を漏らしながら手の甲で目を拭っていた。
今回はもうこれまでなのかと思っていたその時だった。
『そこにあるそれでも飲んで元気出して』
今度は少額ではあったが勢いの落ちたコメント欄では十分目立っていた。
「あれ...こ、これ一体いつから…?なんでここに…?」
コメントを見てはじめて気づいたらしく手に取って泣き腫らした目が困惑した様子で見ている。
「でもこれ、なんなのでしょう…?」
黒いスクリュー缶に赤と緑の絵が書かれていたが俺は見た事がない商品だった。
『きっとお酒だよ、もう忘れて楽しくやろう!』
「...そうですよね。このままではせっかく来ていただいた視聴者様をガッカリさせてしまいますし...」
コメントに促されるままスクリューをひねる。パキャッと開栓音が響き、やけくそ気味にごくごくと勢いよく飲み下す。飲みきれなかった毒々しい蛍光緑の液体が顎を伝う。
空になった缶を床に置くと膝に顔を埋めたまましばらく動かなくなってしまった。
やっぱり酒だったのだろうか。あんな一気に飲んではいけないものだったんじゃないか。
「...うふふ」
考えをめぐらせていると聞こえてきた声に画面に視線を戻す。
「へへ、あはは。し、ちょ、う、しゃのみなさーん!」
さっきと打って変わって陽気に手を振っている。明らかに様子がおかしかったが配信が続行されそうな気配に期待が募る。
「先程は失礼いたしました!再開いたしまぁす!」
言い終わると床に転がしたままになっていた玩具を拾い上げる。
カメラ目線で画面によってくると無邪気に笑う。んべっと口を開き、突き出した緑に変色した舌で先っぽを舐めたかと思ったらそのまま大きく口を開いて玩具の半ばまで咥える。頭を振るように出し入れし始める。
「んむ...んふ」
出し入れを繰り返すうちに溢れた唾液で玩具を濡れる。徐々にストークが深くなる。
「...ぐっ、うぐぅ...」
玩具が喉まで届いたのか嘔吐き始める。元々大きめな玩具なのにもう3分の2ほど口の中に入っているので当然である。コメントは『根元まで咥えて!』、『苦しそうなのがいい』など視聴者も興奮しているようだ。
「ぷはっ…んぐぐぐ…」
嘔吐いて涙目になりつつも、一度口を離すと粘っこい唾液が糸を引く。息を整えると根元まで咥えようと試みる。苦しさに呻き声を上げつつも少しづつ顔が根元に近づく。そしてやっと口元が根元に触れる。
『絶対喉まで行ってるだろ...』
『ほんとに全部はいったぞw』
『めっちゃエロいよ』
活気を取り戻したコメントをみると満足そうに口角が上がる。その後ずるんと玩具を口内から取り出す。
「...おげっ...ぷぽ、うぇっ。はぁ、はぁ、ふふ、皆さん、コメントありがとう...ございます...」
興奮からか顔を赤くそして息を荒くしながら涙目でお礼を言う姿は扇情的だ。
息が整ったコバタンがカメラから少し離れて全身が映る位置まで移動する。膝をたてて脚を開いくと玩具をぴとりと肛門にあてがう。
「わたくしちゃぁんと準備してきましたよ。ふふ、皆さんをおまたせしてはいけませんから」
ついに始める本番に視聴者も期待するコメントが多数寄せられている。
それを一瞥してから玩具を掴む腕に力をい篭める。
「う、ぁ…ひゅ…はぁ」
先端のツルリとした膨らみに縁を広げられるかん感覚に自然に息が止まり口から喘ぎ声が漏れる。ようやっとクビレまで入り少し手を離してはぁはぁと肩で息をする。
まもなく玩具をつかみ直すと挿入を再開する。
「っ、」
中に潤滑油を仕込んでいたが外側の摩擦が思いのほか強く引っかかるような感覚がする。それでも力を込めて無理やり押し込む。
「…ん!」
不意に引っ掛かりが外れて自分で一気に押し込んでしまう。ずるんと入り込まれる感覚に毛が逆立つ。反射的に足を閉じてやり過ごす。しかし配信画面を見ると『見えない』、『足ちゃんと開けよ』など文字が見え、震える足を開くと大半を飲み込んだ玩具の根元を掴んでを抽挿し始める。
「ん、ん、ん、はぁ、うぅ」
じゅぷじゅぷと濡れた水音が響き手前の方を断続的擦られる快感に声が止まらない。
抜き差しを繰り返すうち潤滑油が絡んで滑りが良くなっていきより奥まで受け入れられるようになり奥に少しづつ熱が溜まるようなもどかし快楽が募った。決定的な刺激がなくて体が無意識に悶える。
その時だった。
潤滑油に濡れた玩具が手の中で滑り奥に入り込む。滑った手が突起に触れたのに気づいたときにはもう遅かった。
「っぁ」
ほぼ全長を飲み込んだ状態でバイブ機能のスイッチが入ってしまった。
不意の激しい刺激と快感にビクビクと体が痙攣する。
何とか出そう取り出そうと手で掴みにかかるが深く飲み込んでしまっている玩具は掴めるほど外に出ていなかった上にヌメるそれを掴もうと試みる度に奥に逃げて行ってしまい最奥を擦る結果になり更なる快楽を呼んでしまう。
「ぁ、やだ、なんで、とれ、ない!うぅあ…たすけ、つ゛ぅ~!」
ぞくぞくとした快楽が背筋を駆け上がり処理の追いつかなくなった脳がホワイトアウトするのに時間はかからなかった。
「~~~~~っっ」
ひときは激しく痙攣したのち白濁を吐き出す。
「ぁ、だぁ、とまんな、い…やだ、や、ぁああ!」
しかし玩具が絶頂したこと考慮してくれるはずもなく無慈悲な責め苦は続く。感度のあがってしまった体はイってもイっても止まる事のな玩具に責め立てられ聞くに耐えない嬌声をあげ、痙攣を繰り返すばかりだった。
結局玩具が抜けたのはイキ疲れて意識を手放した数分後だった。
終了させる者がいなくなり流しっぱないの配信画面にはスパチャや称賛のコメントが大量に寄せられていたが気絶してしまっている本人が気づくことはなかった。