モブコバいつもは重い仕事帰り道も今日からは足取りが軽い。浮ついた気持ちで家の鍵を開けて靴をいそいそと脱ぐ。
廊下にある鍵のかかった扉の前に立つ。このためだけに特別に作った部屋。逸る気持ちに震える手でポケットから出した鍵を取り出す。
防音の壁に囲まれた窓のない部屋の中、暗い部屋に廊下から差し込んだ光が差し込む。
「ただいま」
隅に置かれたベットの上に横たわる黒い影がモゾリと身じろいだのが見えた。
明かりをつけ部屋に入ると反抗的な視線がこちらを見ていた。ようやく手に入れたそれを眺める。
緑がかった瞳に耳のような赤い結晶、黒い体毛は間近で見ると少し傷んでいる。
そして口には布がかまされ、手足には拘束具がつけられていて身動きが取れないようにされていた。無論、自分がやったのだが。
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