バスタブに脚が生えてました私はテレビをあまり見ない、正確には見る時間がない。
詳細は省くが、気づけば借金が出来ていてそれの返済に追われてひたすら仕事の毎日。
通勤途中の電車でスマホのニュースアプリを開き話題作りに…と大きな見出しを見る程度だ。
テレビ番組のやらせ、政治家の汚職、少女の拉致監禁事件、通り魔…物騒な記事ばかり出てくるがどれも私の過ごす世界とは遠くかけ離れたものだ。
…と思っていた。
「まさか拉致監禁されるとは…」
今まで住んでいたところの何倍もある綺麗なリビングで温かいお茶を飲みながらぼそりと独り言を呟いた。
スタイルも顔も良い年上らしき男性、蘭さんに拉致監禁されてもう2ヶ月になろうとしていた。
名前くらいしか知らないがこんな高層階のマンションに私を住まわせているくらいだ、お金に余裕がある人なんだろう。
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