風真くんは魔法使い手芸部の文化祭一年目のファッションショー、応援のために舞台袖に入ると涙目で慌てている彼女がいた。
納得がいかず土壇場でデザインを変更したため縫製が間に合わず、ギリギリで最後のサイズ調整をしているのだそう。
助けて、と言われるまでもなく、彼女が針を持っていた手を掴んだ。
そこから優しく針を抜き取ると、どうしたらいいのか指示を仰ぐ。ウエストをもう少し詰めたいとのこと。
ピッタリとしたシルエットが重要だそうで、そういえばこの頃颯砂と彼女が走り込みとストレッチをする姿をよく見かけた。あれは今日に向けての身体作りだったのだろう。
袖をすこし引っ張って、肩部分にも針を入れてやる。彼女のほっそりした二の腕を露わにするドレスにどきりとする。9年前と違う部分を見つけるたび、心のどこかが痛む。
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