うちよそ第2話【第6幕】 車から降り立った先、ガラス張りの自動ドアの前には、紺地に赤い線がアクセントのクラシカルな制服をぴしりと着こなした、大柄なドアマンが立ち並ぶ。恭しい挨拶を幾度も受けつつ、追眠と玖朗は自動ドアを通過した。
「……う、わ」
踊り場を挟んで建物内に足を踏み入れると、追眠は危うく立ち止まりそうになる。そこに広がっていたのは、大きなシャンデリアが輝くエントランスホールだった。磨き上げられた白い大理石の床が、煌めくシャンデリアの灯りを反射している。目の前にあるロビー装花は軽く100本は超えるだろう色とりどりの薔薇で、彫り装飾の施された美しい大理石の台座に鎮座していた。どこからか、荘厳なクラシックが控えめに聞こえてくる。
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