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    p_manxjugg

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    本当はこれも本にしたかった作品でした…。ただ書き続けるのが困難になってしまったのでこちらにて供養したいと思います。

    #オベぐだ

    moratoriummoratorium

    (ブリテン共々落としてやろうと思ったのにな。)

    奈落に落ちゆく中でオベロン=ヴォーティガーンは思った。旅をしていく中で感じた違和感が確信に変わった時(そんな茶番終わらせてしまいたい)と思うほどに苦々しい思いをしたからだ。カルデアのマスター藤丸立香はごく普通の人間だ。特に秀でたところはなく、最初こそ注意深く見ていたが見れば見るほどに彼女が平凡な女性ということしか感想を持てなかった。だからこそだ、冒頭のようなことをオベロンは強く思ったのだ。彼女はもう自分一人の意思では止まれないところまで来てしまった。「ここで引くわけにはいかない」という『諦めることを諦めてしまった』、その事実に憤りを感じざるを得なかったのだ。自分はまだいい。「そうあれ」と望まれて生まれたのだから。だが、彼女はそうではない。あの時奈落で対峙した時の彼女の意思の強い目を思い出す。あれは決して正義としての意思の強さではなく、もう後がないことへの決意だったのだ。ならば最後に…夢に訪れた彼女はなんだったのか。虫たちと戯れていたあの姿は。オベロン自身が招いたつもりはなかった。ならば…。そこで思考を停止した。考えても仕方がない。今更考えたところでもう終わったのだ。彼らは見事奈落から脱出し遥か彼方へと旅立っていった。

    「ま、この俺を超えていったんだ。せいぜい頑張りなよ。」

    そうして眠りについた。…はずだった。



    「…なんだってこんなことになっているんだ。あぁ、そう、嘘も嘘のまま通るってコト?はぁ…いいよ、諦めた。そう言う人間だもんなきみは。僕の名前はオベロン。喚ばれたからには力を貸すとも。心底、気持ち悪いけどね?」

    ちょっと前まで敵対していた相手を自分のサーヴァントとして喚ぶなんて頭がイカれていると思った。だから今自分がここに在るのは偶然…そうたまたまだったんだと思うことにした。深く考えることをやめた。自分の本性を知っているのだから今更取り繕う必要もない。ただ傍でその生き様を眺めて時を過ごそうと思った。そう思っっていた、本当に。だが気がつけば「はい、これ。今日の分ね。ちゃんと受け取ってね。」とキラキラと金色に輝くソレを目の前に差し出される。(これは一体…)と訝しげに声の主の方へと視線を向ければ「え?まだ上限まで行ってなかったよね?」と見当違いな返答がきていよいよ持って我慢の限界だった。
    「俺が言いたいのはそういうことじゃない。なんだって敵対していた相手を強くしようとしているんだ?頭に蛆でも湧いているのか?」
    「視線が痛いな…とは思っていたけどそう思っていたんだ…。いやいや、そうかもしれないけどきみはこうしてここに来てくれたじゃない。ってことはそれはもう仲間ってことじゃないの?」
    「(絶句)」
    「あ、あとは周回しようね〜。ここの戦闘に慣れてもらわないと。」

    どういうことだとオベロンは頭を抱えた。いくら自分と戦って勝利したとはいえ、かつて敵対した相手をこうも易々と受け入れていれていいものなのかと…危機感というものがこの娘には備わっていないのだろうかと思った。そんなオベロンの戸惑いに気づかず藤丸立香はオベロンに種火を与え続け、日々の任務である周回にもことあるごとにオベロンを連れて回るようになった。いつしかオベロンのステータスはレベル120となり気づけば自分に聖杯が貢がれていたのだった。みるみるうちに強くなっていく自分に誰よりもオベロン自身が未だに状況を掴みきれていなかった。あの時の戦いの最中でのやり取りやその後の夢での出来事、それらをまるで何事もなかったかのように言葉をかけて、そして周回に付き合わされる日々に困惑が拭えなかった。ましてや自分よりも古参のサーヴァントがいるにもかかわらず彼らを差し置いて自分は聖杯を受け取ってしまった。彼女の真意を探ろうとするも彼女には嘘はなく、なんの疑いもなくオベロンを強くしたいという純粋な気持ちしかなかった。オベロンはとうとうお手上げとなり直接本人に聞くことにした。
    「おい。聞きたいことがある。来い。」
    「え、急に何?いいけど…」
    そうして彼女のマイルームへと場所を移動して、すぐさま本題を投げかけた。
    「一体どういうつもりなの?俺に貢いで何が楽しいわけ?種火やなんやらはまだいい。だが、聖杯まで渡すとかどういう意味だ?俺にそんなに与えて危機感とかないわけ?」
    「危機感って…。ないよ、そんなのこれっぽっちも。きみには強くなってもらいたいし、もっと言えば私の傍にいて欲しい。ただ、それだけだよ。」
    「それだけで聖杯まで貢ぐ道理にはならないだろう。俺なんかよりももっとふさわしいものがいるはずだ。一体どういう了見だ。」
    「今日はまた随分と食ってかかかるねぇ…。う〜ん、そうだなぁ、なんと言えばいいのかな。オベロンはさ、妖精眼持ってるじゃない?だからどんなに私が強がったって、感情を隠したってきみは筒抜けなんでしょう?それってつまりはオベロンにはいつだってありのままの私が見えちゃうわけだ。隠したくても隠れられない。ならそれはきみは本当の私を常に見ている。ある意味本当の私の理解者なのかなってね…。勝手に思っているだけだよ。それになんとなくだけど、きみとあの夢で話した時から少しだけどきみの気持ちもわかる気がしたんだ。だからこれは私のエゴだけど…唯一理解してくれる人だなって思ったんだ。だから強くなって私のそばで私を叱咤して欲しいんだ。全てを嫌うきみの言葉は私がずっと欲しかった言葉だったんだ。きみの言葉で私はまだ正気を保てるの。だから…お願いオベロン、私が迷わないように道を照らして。」
    (…まぁ、それだけじゃないんだけど。)
    と彼女は心の中で続けた。つい今しがた自分には何も隠せないと言ったのに。…いや、単に言葉にはしたくなかったのか。だがそれがオベロンの逆鱗に触れた。
    「ハッ、流石は人類最後のマスターだ。ご立派な決意なこと…。確かにきみのそれはエゴだな。押し付けも甚だしい。俺がきみの求める言葉をくれてるって?ハハハ!!可笑しいな!これはとんだ勘違いをしているらしい。…自惚れるな。俺は一時たりともきみを想ったことなんてない。きみのソレはあまりにも異常だから、誰もそれを口にしないから言っているんだ。」
    そうだ。ただの平凡な少女が自分の感情に蓋をして自分を犠牲にして弱音を吐くことも許されず、あろうことか自分を追い詰める言葉でなんとか正気を保てるだなんて。その時点で既にガタが来ていることにここの連中は誰一人見向きをしていない!あまりにも馬鹿げている。地球を救うだ、未来を取り戻すだなんだという前に人の子一人の感情すらもまともに扱うこともできない連中に囲まれて、一体どうしてそこまで自分を犠牲にするんだ。オベロンは立香の心がそれほどまでに限界が来ていること、本心を口に出せないこと、こんな蟲ごときにしか自分自身と向き合ってくれる人がおらず孤独なこと…その全てが相まって頼れるのがオベロンしかいないことを察し、憤りを隠せずにいた。

    そしてそんなどうしようもない彼女知り、自分のある想いに気づいてしまった。奈落でのあの時や旅の最中での思い出を巡らす。自分に似た自分ではない輝けるモノ。一瞬でもそう思っていた。だが星の輝きはくすみ始め、今にも消えようとしている。自分を含めて、あの時のブリテンでの出来事に何一つ簡単なことはなかったが、それでも笑顔でいた瞬間はあったんだ、と。そしてその時の表情を、夢での出来事オベロンの中に強く印象付けた。そうして思った、『ならば自分が護ればいい』と。こんな気持ちは吐瀉物の中から生まれ落ちた自分には持ち得ぬはずの感情だ。それなのにどうしてか。あぁそうかきっと彼女もこんな気持ちを自分に想っていたのだろうか。ならば自分が出来ることは…。

    オベロンに費やされた聖杯の数は数知れず。聖杯一つで特異点が成せるほどの魔力リソースがあるモノを10数個も自分は得た。転じてそれは今自分自身には容易に特異点を編み出せるほどの魔力を持っていることになる。

    あらゆる願いを叶える願望器、自分にこれまで注ぎ込んだのならそれ相応のお返しをしなくてはならないね。
    きみが遥か彼方への夢、憧れと言って諦めてきた数々の想いをきみの『唯一の理解者』である俺が叶えてあげようじゃないか。
    気がつくとオベロンは自身の唇を噛んでいた。怒りのあまり無意識にそうしていたようだった。怒りでどうにかなってしまいそうだったが、自分がやるべきことがはっきりとした為オベロンは頭上にある冠を傍にある机の上に置いた。オベロンの先程の剣幕にやられて不安げにこちらを見ていた立香の腕を強引に引きずって、ベットへと投げた。ぼふっという音とともに立香は声を上げた。
    「っちょっと!?いきなり何すんのさ!って、オベロン!?」
    立香が戸惑うのもそのはず、いきなりベットへ投げ出されたかと思えば、オベロンが自分に跨るように覆い被さってきたからだ。何が何なのやらこれはまずいと思い、必死に彼の胸板を押すがびくともしない。戸惑いの中考えを巡らせて、辿り着いた一つの可能性に青ざめた。
    「ご名答、その通りだよ。」
    オベロンはそう言いながら外套をベットの傍に落とし、ボタンを一つ一つ外していく。
    「待って、待って!なんでそうなるの!?お、落ち着いてよ!」
    「俺はいたって冷静さ。今もこの瞬間を気持ち悪いと思っているよ。」
    と、笑顔で答える彼に立香は恐怖を感じて慌てて距離を取ろうと体を引いた。だがすぐさま足首を掴まれて体制を崩し、先ほどよりも距離が近くなってしまった。先程の会話の流れでなぜこうなってしまったのか、どうにかしてこの状況から逃れたくて必死に考えを巡らせた。一体彼は何を思って自分にこんなことをしようをしているのか。しかし、答えを出すにはあまりにも情報が少なすぎた。かくなる上は令呪を切るしかない、そう思い口にしようとした瞬間、口を塞がれてしまった。一瞬時が止待ったように思えた。なぜか視界にはオベロンが大きく映っていて、蒼く透き通るような瞳がこちらを覗き込み、その中に自分が微かに映っていた。状況を理解するのに時間がかかった。立香は今オベロンに口付けられていた。ハッと我に返り、必死に抵抗した。だがそれに機嫌を損ねたのか首の後ろに手を回しより逃がさんとばかりに口付けが深くなっていった。
    「ふ…ん、んん!!んっ…!!」
    (離して、離してオベロン!)と声に出せない代わりに心の中で叫んでもオベロンは止まらなかった。既に口内に分厚い舌が入り込み、逃げようとする立香の舌を絡めて口付けを深くさせていった。慣れない口付けに呼吸をすることができずにバンバンとオベロンの胸を叩けば僅かに唇が離れ、その瞬間に大きく息を吸い込んだ。ぷはっと息継ぎできたの束の間、間髪入れずにまた角度を変えて口を塞がれてしまった。
    「ん、ふぅん、んん…」
    口内を犯され、逃げたくても絡まれてしまい、立香は逃げ場を失っていた。意識が朦朧としているのか、はたまた熱にうなされ始めてしまったのか視界がかすみ始めた。それでもオベロンは解放しなかった。始めは抵抗しようとしていた手も力を無くし、かろうじてオベロンのブラウスを掴んでいる状態になっていた。側からみれば縋っているようにも見えるだろうこの光景にオベロンはフッと笑った。それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。ようやく長い口付けから解放された立香は呼吸が浅く、顔も紅潮していた。立香が呼吸整えているうちにオベロンは彼女の服を脱がせ始めた。その動きにすぐに我に返り立香はその手を掴み、止めた。
    「っオベロン!悪ふざけはやめて!今すぐどいて!」
    「…悪ふざけじゃないさ。俺はいたって冷静だよ。…ねぇ、手邪魔なんだけど?」
    「止めているの!早くどいて。魔力が足りないわけじゃないことは分かってる。」
    「また見当違いな考えを…。ならこう考えなよ。日頃世界の為に邁進している健気なマスターを癒してあげるっていうのはどうだい?これならいいだろう?」
    「っ!そんなの私は望んでない!」
    「果たしてそうかな?そう言いつつも少なからず期待しているんじゃないの?」
    そう言いながらオベロンは立香の服を脱がし、胸元を広げた。そうして下着の上からその頂をスリッと撫でればビクッと立香が反応した。
    「…ほら、なんだかんだ言いつつも期待しているじゃないか」
    「っそんな、こと、ない!」
    「何でそこまで頑なになる?…あぁ、いいや、答えなくて。別に俺には関係ない、そんなプライドなんて。だが…」
    すっと立香の耳元に口を近づけてオベロンは囁いた。

    「俺は捻くれ者だからね、優しさを知らないんだ」
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