(今日は私がお嬢様を起こす担当かぁ。寝起きのお嬢様は機嫌が悪いから苦手なんだよなぁ……)
「おはようございます、お嬢様。失礼します」
「さあ、起きてくださ……い……」
「── !!?!!!?!???!!?」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ! 大変……!!」
「そんなに慌ててどうしたんですかアズラエル。はしたないですよ」
「あ、アル姉……アル姉……っ!」
「お嬢様に何かあったのですか? すぐに向かいましょう」
「あっ、ちが……!」
「失礼しますお嬢様!」
「アル姉はもっと見ちゃダメー!!」
「……!!!」
「あぁ……間に合わなかった……」
「ぉ……お、お嬢様、が……玟擽様と、ど、どうき、同衾……??? ……きゅう」
「アル姉!? アル姉〜!」
「騒がしいな……一体何だってんだ……あ、ヤバ」
「汚らわしい人間が……よくもお嬢様を!!」
「うおっ!?!? ちょっとちょっとちょっと、これには理由があるんだよ!」
「どんな理由だって許さないわよこの下衆!!」
「……煩いわよ……丈、アズラエル……」
「ひっ……ごめんなさいぃ……」
「俺は悪くないだろ! あの子も怯えてるし茨仕舞えって!」
「ちょっとちょっと〜、ドタバタ聞こえてるけど何事〜?」
「もう朝ご飯の時間ですよぉ」
「あら、あらあら♡修羅場〜♡」
「本当に殺されるかと思った……」
「だから言ったじゃない。あの子たちが見たら殺しにかかるでしょうって」
「後で赤髪のあの子に謝りなさいよ」
「どうして」
「心配を掛けさせたことと不必要に怖がらせたこと。アンタが大事だから俺に敵意を剥き出したんだろ」
「……そうね。そうするわ」
「ご馳走さん。朝メシ全部美味かったよ」
「お嬢様。少しよろしいでしょうか?」
「あらイスラ。何?」
(玟擽様とはちゃんとゴムはしましたか?)
(してないわね)
(お子を授かるおつもりですか?)
(……いいえ、ただの世話人の性処理よ)
(それでしたらちゃんと避妊はしませんと。血が繋がった者同士の性行為は危険ですわ)
(そうね。気をつけるわ)
「失礼いたします」
「あら、玟擽様♡」
「あぁ、君は……」
「イスラーフィールと申します♡お気軽にイスラとお呼びくださいませ♡」
「イスラね、よろしく」
「ふふふ♡今度は私と……シましょうね♡」
「えっ」
「それじゃあまた後で♡避妊はちゃんとしてくださいね〜♡」
「……全部筒抜け、なのか……」
「おっ、さっきの……」
「……!」
「まあ、そりゃあそうだわな。俺のことはどう思ってもいいですよ」
「……お前、お嬢様に余計なこと吹き込まないでよね」
「はぁ? 俺はアンタのことを思って諌言したんだが?」
「それが余計だって言ってるの。いい? お嬢様のなさることは全て正しくないといけないの。
あたしとお前はお嬢様の自室で騒がしくしてお嬢様の睡眠を妨げた、それだけよ。従者の都合なんて考えなくていいの」
「なんだそりゃあ……」
「お嬢様はお前のことを気に入ってるみたいだからお叱りを受けることは滅多に無いだろうけど、お情けで泊めてあげてるんだから無礼な言動を弁えなさいよね」
「はいはい、分かりましたよ」
「……フン」
「親が親なら子も子かよ……」