盗賊団の密かな日常 北の国では、基本的には生きることが最重要課題。
それはここ、死の盗賊団でも同じなのだが、彼らは同時に明るく笑って騒いで憂さを晴らすことも知っていた。
もちろん仕事の時は冷徹無比にこなすし、人間の命だろうが、魔法使いの命だろうが、標的となったら容赦なく宝も命も奪い取る。
だが、普段の彼らはそれだけではない。酒盛りだってするし、娼館の姐さんをどう落とすかの相談をしたりもする。もちろん訓練もやるし日々の生活の糧の狩りだって。
そんな彼らの楽しみには、たまにスリルを伴うものもある。
「はあ? 俺がやるの?」
厨房でレシピを勉強しながら新しいメニューを模索していたネロは、自分よりもまだ年嵩に見える人間の団員に誘われて嫌そうな表情になった。
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