ライカブ本編後+マルシル:宰相見習いも人間見習い「なんだか疲れてるみたいだし、あなた少し休んだら?」
そう言ってくれたのはマルシルだった。
「お気遣い感謝します。でも大丈夫ですよ」
そう微笑んだら、「ほっぺたが引きつってるよ」と返された。
「別に体調が悪いわけじゃありませんし、理由もなく休むっていうのも気が引けますけど……」
「悪くなる前に休まなきゃ意味がないじゃない」
心配してくれるのは本当にありがたいけど、嬉しい提案ではなかった。胸に抱えた書簡の束が重い。だけど離したくなくてぎゅっと抱き直す。
「適切な休息が大切なのは重々承知なんですけど、実際どう休めばいいのかってよくわからないんですよね。部屋でごろごろするのは好きじゃないし、どこかへバカンスに行くと言っても、何をしに? って感じですし」
「えぇ? 若いってそういうことなのかな……。ライオスどう思う?」
ちょうど会議室から出てきたライオスに、マルシルが問いかける。ライオスは頭をぽりぽり搔きながらため息交じりに答えた。
「俺に聞かないでくれよ……、午前中だけで知らない人に5人も会ったから疲れた。今すぐ部屋に戻って着替えて本でも読みたいよ」
「6人ですよ。そんな調子だと、どこの誰だったかも、何のための会談だったのかも覚えてないんでしょう」
「覚えなくていいからできるだけ怖い顔してろって言ったのは君だろう」
「ライオス! あなたがしゃんとしないとこの子も安心して休めないんだからね!」
王をたしなめる宮廷魔術師の姿に思わず笑いがこぼれる。
「でも俺、いやじゃないんです。毎日充実してるから楽しくて、だからもうちょっとやらせてくださいよ」
「ええ〜、でも……」
ここが俺の故郷になるから、俺の一生をかけて守る場所になるから、あなたたちが大好きだから、失いたくないから、いつも一緒にいさせてくださいなんて、俺なら引くから、絶対言えない。
「だよな、君は俺たちのこと大好きだもんな」
「そうだよね、離れるのさみしくて嫌だよね。しつこく言ってごめん!」
「えっ」
「俺も、君のこと大好きだよ😉👍」
「私も😉👍」
「えっえっ🥺🥺」
みたいな