雨と頭痛PenCake - 雨と頭痛
2024年4月9日(火) 07:14
ザーザー……
雨音が激しさを増す午前9時。
洗濯物を干しながら窓の外を見る。
予報ではこれからもっと激しくなるらしい。
雨なら雨で家で出来ることをやれば良いだけなのだが……
「キュゥ……クゥーン……」
類がずっと切なく鳴いているのだ。
司のお手伝いで下ろした洗濯物を畳みながら
耳と尻尾を垂れさせ、きゅうきゅう鳴く姿に心配よりも可愛いと思ってしまうダメな自分に鞭打って
優しく類の頭を撫でる。
「どうした?散歩に行けないからしょげているのか?」
「それも、あるけど……」
それもある、ということは違う理由があるのか。
ふわふわと頭を撫でていると洗濯物を畳むのをやめ
すりすりと手に頭を擦り付けてくる。
「んぅ……」
気持ちよさそうに目を細める姿に安堵するのだが
やはりどこかおかしいようで相変わらず
きゅうきゅう鳴いている。
「類〜?どうしたんだ?」
「うぅん……」
司の肩にぐりぐりと頭を押し付けてきた。
これは甘えたいときにする仕草ともう一つ
「まさか、体調悪いのか?」
司が背中をポンポンと擦ると、類はゆっくり顔をあげてクゥンと切なげに鳴いた。
「体調悪いなら早く言え……!いや、気づかなかったオレも悪いが……!」
類のおでこに手を当てる。
熱はなさそうでホッとしていると
「司くんと、いたくて……」
「ぇ」
ボソリと聞こえるかきこえないかの声量で発せられたそれに司もいつもより小さい声が出た。
鼓動が早くなる。
「雨の音は好き、でもお散歩にいけないから苦手」
呆気にとられていると、誤魔化すように話を変える類。
だが未だ司の手は類のおでこにある。
熱はないと安堵したおでこは先程より少し熱くなってる気がして伝染するように司の手も熱くなり、司くんの手熱いねと類が微笑むのに更にドキドキと脈打った。
「っ、熱はないみたいだが……気持ち悪いか?」
「ううん、頭が痛いだけ」
なるほど、気圧のせいか……
「よし、今日は無理せずゆっくり休め!今温かい緑茶を持ってくるから布団に入って暖かくしているように!」
頭痛薬も用意しなければ!そうするとほうじ茶のほうがいいだろうか?と考えながら立ち上がろうとするとくいっと裾を引っ張られる。
クゥン……と寂しそうにこちらを見て鳴く類に
愛しさが爆発するのを抑えて、あまり刺激しないように優しく頭を撫でた。
「すぐ戻るから、布団で待っていてくれるか?」
「……でも」
「今日寒いな?」
突然の司の言葉に類はキョトンとする。
「??うん、風邪ひかないようにしてね」
「そうだな風邪ひかないように温かくしなければならないな!」
「???」
今度こそ首をこてんと傾げる類。
そんな類が可愛らしくて頬をむにむにと揉む。
これがキュートアグレッションというやつか……?
「布団、温めて待っていてくれ」
「!それって……」
「ああ!一緒に寝」
「秀吉?」
「なんでだ!!!」
かっこよく誘ったつもりだったのに!
ガックリと肩を落としショックを受けている司に類は楽しそうに笑う。
「温めておくから早く帰ってきてね」
「!ああ!」
ゆったりとした足取りで寝室に向かう類を見届け、
体調を崩している類にとって少しでも離れるのがとても寂しく嫌なんだろうな
こんなに愛されてオレは幸せものだな
緩む頬をそのままに、お湯を沸かさねば!と急いで台所へ向かうのだった。
「クゥクゥ鳴るのやだなぁ」
「なぜだ」
「だって寂しいとか甘えたいとかすぐ分かっちゃうじゃないか」
「鳴かなくとも尻尾や態度で大体わか……あ、いやなんでもない、……こら!尻尾を隠すんじゃない!」
「僕ばかり筒抜けだ!ズルい!」
7:23am