モクチェズ絵本 あるところに、それはそれは美しいお姫さまがいました。
お姫さまは左目に紫色の美しい花を咲かせていました。その花からは甘く珍しい蜜が取れるので、お姫さまの周りにはその蜜を求める人達であふれかえっていました。
しかしその花はお姫さまが最初から持っていたものではありません。
お姫さまがはじめて恋をして、そして想いが通じなかった相手から送られたものでした。
お姫さまはそれがどうしても許せませんでした。自分を手酷く振っておいて、なのにこのような花を送るなんて!と、どういうつもりなのかと、会って一言二言いってやらないと、気がすまなくなったのです。
お姫さまは左目に花を咲かせてから丁度一年経った日に、お城の離れにある塔へ閉じこもりました。
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