さぎしのよめいり モクマが嫁を貰う――
長身で髪が長く肌の白い絶世の美人らしい。
そんな第一報を同僚から受けたゴンゾウは脳裏には蛇の模様の仕込み杖を持つ美人を思い出していた。まさかなと思いつつゴンゾウは書類を持っていると背後から声がした。
「ゴンゾウ、そのまさかだからな」
笑みを浮かべたナデシコの声にゴンゾウは書類の束をボトリと落とす。
「まさかといわれましても」
慌ててゴンゾウは書類を拾い始める。
「モクマ本人から連絡があった。間違いはなかろう」
「ですかあの人とは確か過去に殺し合いまでしたと……」
「それはいつの話だ? 私と楽しく三人で酒も飲んだしあの二人は唯一無二の相棒だ。だがまさか婚姻までするとは思わなかったがな」
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